August.7,2002 元ちとせのカヴァー曲

        元ちとせが大人気だ。私も今年の始め頃、デビュー曲『ワダツミの木』をラジオで耳にして、すっかり気に入ってしまい、アルバムが出たら買おうと思っていた。その後、第2弾シングル『君ヲ想フ』を耳にしたときもやっぱり感動してしまって、こうなると早くアルバムが出ないかと心待ちにする日々が続くことになった。そして、ようやく先月1枚目のアルバム『ハイヌミカゼ』が発売になった。早速買い込んで、その日以来、もうこのアルバム以外のCDは聴かない日々が続くことになった。シングル・ヒットの2曲以外でも、収録曲10曲全てが気に入った。こういうことはなかなか無い。それだけ元ちとせに夢中になってしまったということなのだろう。

        特に寝る前に布団に入って電気を消し、元ちとせを静かに流していると気持ちがいい。彼女のファルセットが、疲れた心と体を癒してくれるようなのだ。そのうちに、この10曲だけじゃなく、彼女の違う歌がもっと聴きたいという欲求が出てきた。CDショップに行ってみると、アララ、知らなかった。2枚のシングルは、タイトル曲以外に、それぞれ2曲ずつカップリング曲が入っていて、それらはアルバムには収録されていない曲だと知ったのだ。衝動的にこの2枚のシングルまで購入。急いで家へ帰って、聴き込んでしまった。

        そこでびっくりしたのが『君を想フ』の方には、『BLUE』という曲が入っていて、聴いてみたら英語の曲だった。クレジットを見たら、ジョニ・ミッチェル。なっ、何だってえー! ジョニ・ミッチェルはあまり私の趣味ではないので1枚もCDを持っていない。こうなると止まらなくなってしまうのが私の悪い性格で、翌日今度はジョニ・ミッチェルの『BLUE』を求めて再びCDショップへ。『BLUE』は1971年のアルバム『BLUE』に収録されていた。ジョニ・ミッチェルはピアノ一台をバック、元ちとせはギター一本をバックにしている違いがある。きっとジョニ・ミッチェルのファンは、こういう歌い方をされると違和感を感じるかも知れないが、最初に元ちとせでこの曲を聴いてしまったあとの私には、元ちとせのヴァージョンの方がしっくり来る。

        さて、これからが大変だった。なんと、なぜ気がつかなかったのかわからないが、元ちとせには、この3枚以外にもインディーズ時代に残したCDが2枚存在することを突然に気がついたのである。それも、ごく普通にCDショップの棚に置いてあった。『元ちとせ』 『コトノハ』の2枚である。「うわー」と大喜びして、迷わずに購入。封を開いて愕然とした。『元ちとせ』の方は6曲全てがカヴァー曲なのである。山崎将義の『名前のない鳥』、あがた森魚『冬のサナトリウム』はわかるとして、外国の曲が4曲。シュガーキューブスの『Birthday』、ルー・リードの『Sweet Jane』、おお、『つづれおり』に入っていたキャロル・キングの『Home Again』、そして、そして何とジミ・ヘンドリックスの『Little Wing』! 

        この中で原曲を持っていないのはシューガーキューブだけ。今、シュガーキューブを買いに行こうかどうか迷っている。あの苦しそうに歌っていたジミ・ヘンドリックスの『Little Wing』が、今、元ちとせによって流れている。とてもあの曲とは思えないような優しい歌声である。ああ、私の心が癒されていく。もういい、もういい。しばらくは元ちとせだけを聴いていよう。


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