May.26,2004 吉祥寺駅前ロータリーで、てつさんを観る

        15年くらい前だろうか。てつ100%というバンドの『TOKYO TAKO BLUES』という曲が、ちょっとした話題になった。東京の地名を駄洒落で繋いでいくコミック・ソングのようなもので、いささか下ネタが混じっているものの、その面白さといったらなかった。一度ライヴを観たいものだと思っているうちに、消えてしまった。てつさんは、あのあとどうしているのだろうと思っていたら、あいかわらず活動をしているという情報を得た。ゴールデン・ウイークの5月2日。吉祥寺駅前ロータリーでの『吉祥寺音楽祭』に出るというので、出かけてみた。

        てつ(杉原徹)さんは、この日のトリだった。上がりが17:20ということだったので、17:00ちょっと前に吉祥寺北口へ行く。どうやら時間が押しているらしく、2バンド観たところで、いよいよ、てつさんの登場。ベースの梶野秀樹と、飛び入り参加だというギターの丸山ももたろうに挟まれた形でライヴが始まる。

        1曲目が、こどもの日が近いということもあってか、なんと童謡の『鯉のぼり』。これが、ジャズ・アレンジが施されていて、大人でも面白く聴ける。気持ちよい乗りにうっとりしていると、やがて足元に置いてあるカバンから、シャボン玉は出すわ、紐は振り回すわ、玩具のヘリコプターは飛ばすわ、視覚的にもハプニングに満ちている。

        2曲目が、かの『TOKYO TAKO BLUES』だ。いやあ、久しぶりでかの名曲に触れられた感じ。東京の地名を駄洒落で繋いでいくこの曲、実は思いっきり下ネタ。吉祥寺の駅前で歌うものではないのだが、てつさんが歌うと不思議に厭らしさを感じない。

        3曲目からは、『キャバレーのテーマ』 『デスペラード』といった外国の曲に日本語の歌詞を乗せていく。その間も、突然に手品をチープな手品を始めたり、走ってくる中央線に突っ込みを入れたり、乗客待ちのバスの運転手に話しかけたりと、客を飽きさせない。

        しかし、これらの奇抜なステージは、てつさんの、その抜群な歌唱力があっての余裕を感じる。いや、てつさん、本当に歌が上手いのだ。その歌声を聴いているだけでも気持ちがいい。今度は是非ライヴ・ハウスへ行くことにしよう。



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