March.30,2006 Doing It Do Death/James Brown

        70代のJames Brownにそれほど過剰な期待はしていなかったものの、それにしても歌わない、踊らない。もう高い声は出ないようなのだ。例えば『Doing It Do Death』。「♪We gotta take you higher」という有名なフレーズ。最後のところで「ハーーーイヤー!」とシャウトするのが醍醐味なのだが、最後に上がるキーがもう出ない。ここは、男性コーラスと女性コーラスがひときわ声を張り上げてカバーしている。

        こんなに何もしないJames Brownというのは、ややがっかり。曲を始めても、軽く歌ってすぐにホーンやギターにソロを回す。またこのソロが長いのなんの。あるいは、コーラスのひとりを呼んで歌わせる。これはもうJames Brownのライヴではなく、James Brownがショウ・チームを率いて公演する、一種のレビューなんですね。まあ、そう考えれば、それはそれで楽しくはあるんですが。

        楽しみにしていた最後のマントショウも無くなっていた。女性ダンサーと女性コーラスをひとりずつエスコートして舞台袖に連れて帰るというのがマントショウの替わりらしいのだが、これがやたらと長い。何しろダンサーふたり、コーラス4人でしょ。それを一人ずつなんだから時間がかかりすぎ。臭くはあっても、やはりマントショウが見たい。まあ、疲れ果てた姿を見せるほど、ご本人は歌いもしなかったし、踊りもしなかったんだが。

        ひょとすると、もう私の中でJames Brownは終わったのかもしれないなあ・・・・・。        


March.11,2006 I Got You(I Feel Good)/James Brown

        3月5日、東京国際フォーラム・ホールA。『ジェームス・ブラウン50周年記念コンサート』って、「おいおい演歌歌手のコンサートじゃないんだから」と突っ込みを入れたくなるようなタイトルだが、そんなものか(笑)。客席の年齢層が高い。若い人はJBなんか興味ないのかな。

        いつものようにインストから、Danny Rayの「Super soul number1 Ja〜〜〜mes Brown!」の叫びと、客席からの「James Brown! James Brown! James Brown! James Brown!」の呼び声で、キラキラ光る黒の服でJames Brownがステージに現れるや、何と客席は早くも総立ち。おいおい。おじさんたち、おばさんたち、元気なこと!(笑)

        バンドの編成は大所帯。ツイン・ギター、ツイン・ベース、ツイン・ドラムス、パーカッション、ホーン3(tp1、sax2)、女性コーラス4、男性コーラス1、女性ダンサー2。センター・マイクの後ろにキーボードがあって、これはJB用。ときどき、この前に立って例によって右手一本で弾く(笑)。お世辞にも上手いとは言えないのだが、その迫力とセンスのよさは、もう許しちゃう(笑)。トランペットの人が、さらに後ろに配置されているキーボードを弾いたのが1曲。

        バンドの服装は、白のスラックスに赤いジャケット、蝶ネクタイ。タイは黒だが、なぜかホーン3人のタイは赤。女性コーラスは身体にピッチリとした黒のミニスカート・スーツ。男性コーラスも黒のスーツ。女性ダンサーは・・・・・うふふ、当然露出度の多い格好で男性客の目を楽しませようという趣向。

        それにしても、今回、「ああ、James Brownも歳を取ったなあ」という印象。なんだか妙にあっさりしているのだ。脂っけが抜けたというか、以前のようなギラギラしたものが感じられない。James Brownというと何か危険な香りを放っている不良中年というイメージを持っていたのだが、今、目の前にいるのは、まるで悟りを開いた人物のよう。ジェームス・ブラウンおじさんと個人的に呼んでいたのだが、ブラウンおじさんも、もう72歳。もうすぐ73歳の誕生日を迎える。ジェームス・ブラウンじいさんになったんだなあ。


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