October.26,1999 観念しちゃえよ
ミック・テイラーのライヴを見て、帰ろうと渋谷クアトロの階段を降りようとしたら、下から怒鳴り声が聞こえた。「離せよ、ばかやろう。触るんじゃねえ」何なんだろうと思いながら下へ向かうと、会場のスタッフ三人にひとりの男が囲まれていた。男の手には、小さなカセット・テープ・レコーダー。「外交上、そういった音源が出回ると困るんですよ」「てめえ、離せよ!」。しまいには、「ちょっとトイレ行かせて」なんて見え見えの事言ったりしている。
もう録音がバレちゃっているんだから、観念してテープ渡しちゃえばいいのにな。バレたからって、別に警察に連れて行かれる訳でもないだろうに。往生際が悪いというか、ドジというか。
October.24,1999 ミック・テイラーのライヴ
黒のジーンズに白いシャツ、ジャケットをはおり、レスポールを手にしたミック・テイラーは、以前見たときより、髪が白くなったこと以外は相変わらずだった。ギター、キーボード、ベース、ドラムスのバックに、ギターとヴォーカルのミック・テイラーが乗るという、五人編成。
一曲目からボトルネックを使い、早めのテンポのブルースを弾いてみせた。ただこの人、それこそ昔からサービス精神のない人で、ステージをショウ・アップしようという気が、あまりない。ギターの弾き方も頭を下げて黙々と弾くから、以前[渋谷ライヴ・イン]で見たときなど、後ろの方で立って見ていたら、ミックの黒い頭頂部しか見えなかった。今回も変わらないけど、前の方でバッチリお姿は拝見できた。
やはり、ミック・テイラーのファンというと、ブルースを期待している人が多くて、[渋谷ライヴ・イン]のとき、フュージョンみたいな曲が続いたら、「俺達ゃな、ブルース聴きに来たんだぞ!」というヤジが聞こえた。今回も受けたのは、『ユー・シュック・ミー』と『ユー・ガッタ・ムーブ』。確かに、途中延々とソロを廻すフュージョンは飽きたよ、ミック。
October.21,1999 勘太郎が元気だ
元憂歌団の内田勘太郎の新しいバンド、アリゲーターズのCD『夜のワニ』を買った。木村と別れたことにより、あの独特の泥臭さがなくなり、憂歌団のころよりシャキッとしたブルースになっているところが、目新しくてうれしい。
中でハウンド・ドッグ・テイラーの『イッツ・オール・ライト』を演っている。訳詞ってなってるけど、あの歌詞って、ただ、女に捨てられちゃう詞だったんじゃなかったろうか。どう考えても「ぼくらは年をとり、夢は枯野を駆けめぐる」にはならないと思うけど、まあいいや。この曲、乗りがいい。
October.12,1999 お買い得の雑誌
雑誌『ブルース・アンド・ソウル・レコーズ』29号の特集は、ジャパニーズ・ブルース。GS時代、ブルース要素の入っていた、ゴールデン・カップスあたりから掘り起こして、70年代に次々と誕生していったジャパニーズ・ブルース・ロック黄金時代。そして現在の状況までを詳しく書いてある。これは、かなり勉強になる。
他にも、日本のブルース・アルバム56選とか、ウエストロードの永井隆へのインタビュー、新しく出てきたブルース・バンドのヘンなところを指摘する座談会など、なかなか読みでがある。
しかし、何と言っても圧巻は付録のCD。現代の日本のブルースを14組14曲収めてある。これで1,600円は安い。一曲目のブラック・ボトム・ブラス・バンドからして、「んっ? ダーティダズンか?」と思うほどのノリ。また、ギター・ウルフが、あの名曲『I Just Want To Make Love To You』を、大胆な解釈で演奏しているのが、特に気に入った。