July.10,2009  牛バラカレー 500円 (サンクス)

        今では幻になってしまったカレーライスがある。もう20年以上前のことだったと思うが香港へ旅行したときのこと。同行者のひとりが、香港の中華料理がまったく口に合わず、みんなと食事するときは何一つ口にできず、毎食マクドナルド・ハンバーガーばかりを口にしていた。そんな4日間が過ごして、さて日本に帰ろうというとき。香港の空港のロビーで残った小銭を使い切ってしまおうと、空港ラウンジに入った。香港の中華料理が口に合わなかった人が、なんだかお腹を空かしているようなので、そこでビーフカレーを注文した。値段もそんなに高い物ではなかった。「少し、食べさせてよ」と味見してみたら、これがもう驚くほど旨いカレーだったのだ。牛肉の塊がゴロゴロ入っているのもうれしかった。何といってもそのカレーの味が抜群だつたと言っていい。カレーはカレーなのだが、中国料理に使う香辛料を大胆に使っており、「こ、これは」という食物に対するカルチャー・ショックが起こるほど旨かったのだ。このカレーが食べたくて、次に香港に行ったときには、このカレーはもうなかった。あの味を再現してみようと何回か自分で作ってみたこともあるのだが、あの味が出ない。まさに私にとって幻のカレー。

        サンクスで、横浜中華街の保昌という店で出している牛バラカレーを再現したものが出た。



        ひょっとしてと思って食べたのだが、あの幻のビーフカレーではなかった。まあ、ごく普通に旨いカレーライスでしたが。中華テイストも微かにするし。でも、あれじゃないんだなあ。


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