April.28,2000 まぐろ専門の回転寿司
            そして、寿司と醤油の微妙な関係U

        築地場外市場に、去年、回転寿司屋がオープンした。ありそうでなかったという気もするし、なんで魚河岸に回転寿司という気もしないではない。ただ、ちょっと場所がわかりにくいかもしれない。店の本体は、まぐろを小売りしている店だ。その奥が回転寿司のカウンターになっている。店の名前は、[蔵まぐろ]という。

        席に座ると、サービスのお吸い物と、まぐろの佃煮が出てくる。さあて食べようと回転している皿を見ると、まぐろしか廻っていない。そうなのだ、この店は、まぐろ専門の回転寿司屋なのだ。値段は100円、200円、300円、400円、500円、600円の6種類。100円と200円の皿には、まぐろ以外のネタもある。100円のかっぱ巻きと、200円の卵焼きである。

        100円からまぐろ寿司が食べられるが、赤身のところでネタも薄く切ってある。「旨いな」と思うのは、やはり400円からで、このくらいの値段を出せば、中トロのいいところが乗っている。思いきって、1番値段の上の600円の皿を取る。これはさすがに大トロのいいところが、分厚く切ってある。これは文句なく旨い。これ2カンで600円は安いだろう! それにしても、何で回転寿司なのか? まぐろしかないのだから、何も回転にしなくてもとも思うのだが・・・。

        代わって、今度は寿司を手で摘んで食べる食べ方の話。先日書いた、[龍寿司]の方法より解り易い方法を、ラジオで漫才を聴いていたらやっていたのでご紹介。
(1)寿司に対して、手のひらを上にして持っていく。
(2)人差し指と中指でシャリを挟むようにして持ち上げる。
(3)親指をネタに添え、
(4)寿司を横に180度回転させる。
(5)小皿の醤油をネタにつけ、
(6)そのまま口に持っていって、
(7)食べる。

        この方法だと、親指がネタ落下を防いでくれるので、タコなどでも安心して醤油につけられる。なるほどねえ。今度試してみよう。

        しかしである。私、この『寿司と醤油の微妙な関係』テーマにおいて、究極の方法を考えだした。前回私は、醤油なんて寿司の上からかけてしまえという、いささか乱暴な結論で終えてしまったのだが、少々問題があった。醤油を上からかけると、往々にしてかけすぎてしまうのだ。あまり醤油がつきすぎると、しょっぱくて美味しくない。これは、上記の手で摘む方法でも同じで、大抵の場合、適量の醤油を寿司のネタのみにつけて食べることは、成功の確率が低いのである。常に、「ああ今回は醤油をつけすぎた」とか、「もう少し醤油をつければよかった」という後悔の念にかられながら寿司を食べているのである(そんな大した問題でもないか)。

        さて、究極の食べ方である。まず、小皿に醤油を入れる。そうしたら、割り箸の先に、この醤油を浸し、寿司ネタの上に持っていって、ペタペタと塗るのである。つけ足りなかったら、また箸の先を醤油に浸してペタペタ。こうして、適量の醤油を添付した寿司は、絶対に旨いと保証する。しっかし、これもまた地味で、みっともない食べ方だよなあ。


April.24,2000 おんな泣かせ

        仙台の悦っちゃーん! このホーム・ページ見てくれてるの? 今年の初めごろウチに寄ってくれて、インターネット見られるとか見られないとか言ってて、あとから、URL、ハガキで教えたじゃない。あれから何も連絡ないけれど、本当に見てくれているのかなあ。

        あのときさあ、お土産だって、お酒くれたでしょ。あれ、今日開けて、今飲んでいるところ。いい酒だねえ。ラベルがさあ、浮世絵でもって、銘柄が『おんな泣かせ』ときちゃあ、なんだか観光用みたいで、ちょっと引いちゃったけど、味は本格的だねえ。こういう味、好みなんだ。一口含むと、ふわーっとフルーティな香りがして、そのあと辛口のピリッとした旨みがくう。あれっ?、『くう』だって、『くる』だよね。なんだかカツゼツが悪くなってきちゃったな。酔っ払ってきちゃったんだろうか。

        仙台から持ってきたっていうから、宮城の地酒かと思ったら、これ静岡の酒なんだね。島田市の[大村屋酒造]の酒。悦っちゃん、ほとんど酒呑まないのに、よくこんな酒知ってるね。今度来るときは、720mlサイズじゃなくて、一升瓶で持ってきてね。なあんてね。うそうそ、冗談だよ。酔っ払っていると何言い出すかわからないから怖いよね。

        ああ、いい心持だ。しかし『おんな泣かせ』たあ、凄いネーミングだねえ。そうだ、こんな都都逸、知ってるかい? へへへへへ、『おんな泣かせの あんたに惚れて ついて行かしょか 地獄道』ってね。えっ、知らない? へえ、知らないの? 知らないよね、ぼくが今作ったんだもの! きゃはははは。

        おい! 丸屋グループ大社長! [酒奉行]チェーン展開中にしてラーメン屋の親爺の鈴木! この酒知ってるか? おう? いけねえ、この絡むような、しつこい語り口。いやだね、日本酒って。好きなんだけどね。うわー、ほんとに酔っ払ってきちゃったよ。それじゃ、このへんで失礼させていただいて、お休みなさい。


April.20,2000 Pavé d' Okayama

「何食べてるの?」
「ああ、これね、岡山の源内さんが送ってくれた、生チョコレート」

「ふうん、美味しそうだねえ」
「うん、とても美味しいよ。食べてみて」
「どれどれ、・・・・・・・・・・・・・・・・。う〜ん、冷たい!」
「生チョコレートだからね、冷蔵庫に保存しておいたんだ」
「最初、冷たくて、口の中でチョコレートが溶けるにしたがって、カカオの風味が口一杯に広がって、なんともいえない幸福感に包まれる感じ」
「岡山の[エスポワール]というお店の、[パヴェ・ド・オカヤマ]っていう生チョコ。[岡山の石畳]っていう意味なんだそうだ。源ちゃーん! ごちそうさまー! 美味しかったよー!」
「美味しかったです。ごちそうさまー!」
「源ちゃん、また送ってね」
「やめろって、そんなモノをねだるようなこと」
「僕、食べ物の贈り物に弱いから、すぐ尻尾振っちゃうからね。吉備団子送ってくれたら、犬でも猿でも雉でも河馬でも、何にでもなってお供しちゃうからね」
「さもしい奴だなあ、おまえって!」
「みなさんも、よろしくね。送ってくれたら、ここで写真入りで紹介するよ!」
「やめろって、本気にする人が出てくるじゃないか!」
「蟹なんて好きだなあ」
「こらあっ! おまえ、ほんとにやめろってば。そんなこと言ってると友達なくすぞ!」
「伊勢海老とかさ、松坂牛のすき焼きセット。冬だったら、とらふぐのふぐちりセットとかいいな」
「やめろって! 調子に乗るんじゃないよ! 恨みかってふぐの毒盛られても知らないからな!」
「おーい、鈴木! 新しく開店したラーメン屋のラーメン食わせろー! お土産セット送ってくれてもいいぞ!」
「そうだぞ、鈴木、けちけちしないで、ラーメン食わせろよな!」
「えっ!?」


April.14,2000 よろこび花の宴弁当

        サンクスで時々発売する期間限定神田川俊郎作弁当は、値段の割によく出来ているので、新作が出ると買っている。今また、[よろこび花の宴]なる弁当が4月24日まで出ている。ちょっとしたお花見弁当の趣だ。

        縦横二本の仕切りを入れて、9個の枠を設けて、オカズ5、ご飯4という構成にしてある。
上段左  牛肉コロッケ、カニ風味チーズボール マスタード和え、カニ風味磯辺天ぷら、厚焼玉子
上段中央  山菜ご飯 山みつばのせ
上段右  神田川流きんぴらごぼう、蛤しょうが煮、芋きんとんりんご風味
中段左  俵 桜ごはん、香物 かつお大根
中段中央  六方切里芋煮、なんきんの煮もの、鮭の柚庵焼、筍穂先煮、さつま揚煮、菜の花おひたし
中段右  豆ごはん
下段左  備長炭 炭火焼鳥、信田巻の含め煮、塩ゆで海老、アスパラの甘酢漬け
下段中央  俵 野沢菜ごはん、角切り昆布
下段右  神田川流豚肉とぜんまいの甘味噌炒め いんげん添え

        個人的には、芋きんとんのりんご風味が変わった味がして気に入ってしまった。それとアスパラの甘酢漬け。これは珍味。これだけ入って千円は安い。つまらない駅弁なんか買うよりよっぽどお得。そうだ、明日は休みだから、またこれを買ってどこかに遊びにいこう! えっ! 明日は雨?


April.9,2000 寿司と醤油の微妙な関係

        築地市場には、いい寿司屋がたくさんある。素人さんでも入りやすい場所にある場外の[寿司清]もいいが、ここは開店前から列ができてしまうのと、開店時間が8時半と、私にしては遅いので、おのずと場内まで足を伸ばすことになる。[大和寿司]と[鮨 大]が超お薦めなのだが、この2軒は列ができるくらい混んでいることもあって、寿司が出てくるのが遅い。忙しい朝など、とてもじゃないが、待っていられない。

        そこで、たいてい[龍寿司]に行くことになる。ここも、前の2軒ほどではないが、旨い寿司を食わせる。比較的空いているので、すぐに寿司を食べられる。初めてこの店に入ったときはビックリした。箸を置いていないのである。頼めば出してくれるのかも知れないが、寿司は手で食べるものだということらしい。この主張はある意味で正しいのかも知れないが、頑固だよなあ。手で食べるのに慣れていなかった私が苦労して食べていると、優しく笑いながら、食べ方を教えてくれた。うまく説明できないのだが、手の甲を寿司の前方に出すようにして、寿司を反対から摘み、クルッとひっくり返して、ネタに醤油をつけて食べる。「なるほどなあ」と感心して、しばらくは寿司は箸があっても手で掴んで食べていた。

        それで思ったのは、確かに寿司を食べる時に、シャリの部分に醤油がつくのは美味しくないということだった。ネタの部分には適量の醤油が満遍無くつくのが望ましい。ネタに醤油がつかないで、シャリが醤油で辛いというのは最悪である。しかし、手で食べようと箸で食べようと、適量な醤油をネタだけにつけるというのは、けっこう難しいことだ。

        特に箸で食べた場合、例えばタコのように、シャリにネタがくっ付かないようなものなど、ネタがポトリと醤油に落ちそうになってパニックに陥りそうになる。そこで考えたのが、箸でネタをシャリから離し、醤油につけてから、またシャリの上に着地させて食べる方法。これだと簡単に醤油がつけられる。

        ところが、もうひとつ問題がある。アジとかイワシのようなヒカリモノの上に、おろし生姜とネギがトッピングされている場合だ。これだと手で食べようが箸で食べようが、どうしたらいいのかわからなくなる。手で食べても、寿司を逆さまにして醤油をつけようとした途端にトッピングは醤油皿に落下してしまう。箸でネタを剥がす方法も、トッピングを落とさないようにするのは、かなりの困難だ。

        あるとき、落語を聞きに寄席に行った。開演まで時間がなかったので、折詰めの寿司を買い、自動販売機で缶入りの暖かいお茶を買った。寄席に飛び込んで、落語を聴きながら寿司を食べた。当然醤油皿などないから、寿司の上から醤油をふりかけた。そのとき、「あっ!」と気づきましたね。結局、これが一番いい方法なのではないかと! これだとネタだけに醤油がかけられる。実は巻物の問題というのがあるのだが、これも一気に解決してしまう。

        その一、鉄火巻きなどの普通の巻物。いくつかに切られた海苔巻の切り口に露出しているネタにめがけ醤油をたらす。これで、シャリ部分にはあまり醤油がつかずに食べられることになる。その二、軍艦巻き。これも逆さまにして醤油をつけるとネタが落下してしまう恐れがあるのだが、この方法ならなーんにも問題ない。その三、手巻き寿司。円錐形というのだろうか、下が細くまとまっていて上に海苔が開いている巻物ありますよね。そのまま醤油につけると海苔にべっとりついてしまって、海苔がしょっぱくなってしまう。こんなのどうやって醤油で食べろというやつ。これもこの方法なら全て解決

        ただ、醤油差しの口が太いとドバッと醤油が出てしまい悲惨な結果になる。なるべくなら、醤油差しの口が細く、透明な瓶であることが望ましい。昨日映画のコーナーで書いた『はつ恋』で田中麗奈が回転寿司屋で、やはり醤油を直接寿司にかけるシーンがあった。真田広之が「なんていう食い方をするんだ」と言うのだが、麗奈が「だって、この方が食べやすいんだもん」と言い返す。コンビニの弁当コーナーの寿司で育った若い世代は、この方法に慣れているのかもしれない。しかしなあ、寿司屋のカウンターでこれをやったら、板さんに怒られるかもなあ。


April.6,2000 Variety Set

        取引先の金融機関から、宅配便が届いた。中元でも歳暮でもない、この時期に何だというのだろう。開けてみると調味料の詰め合わせだった。

        調味料なんて商売柄、全て業務用の特大サイズのものを使っているから、こんなものを貰っても、あまりうれしくない。内訳は、醤油2本、中濃ソース1本、みりん1本、サラダ油2本。不思議なのは、醤油がキッコーマンとヤマサ、中濃ソースとみりんが正田、サラダ油が昭和と豊年だということ。キッコーマンとヤマサ、昭和と豊年の味較べをしろというのか。

        だいたいからして、違うメーカーの商品を一緒にして贈るなんてことありえるのだろうか? おそらく金融機関側での、メーカーに片寄りがあってはいかんという配慮なのだろうけれど、なんだか変なものを貰っちゃったという感じ。まさか、各メーカーの歳暮商品の売れ残りを解体して、詰め込み直したものじゃないだろうな! 

        箱を見ると[ヴァラェティ セット](原文のまま。ちいさなェにしてどう読ませる気か。読みにくいよね)となっている。まさか別々のセット商品をバラバラにして詰め替えたから、バラエティ・セットだなんてシャレじゃないよな。


April.3,2000 うわーい、当たっちゃったー!

        キリンの特別限定醸造、KIRIN2000年記念セットが欲しくて、キリン・ビールの応募シールを集めること、2ヶ月。ずいぶんと送ったよなあ。店では、[キリン一番搾り]を出しているから、下がってきた瓶からシールを剥がせばいいだけなのだけれど、剥がしたシールを台紙に貼って、投函するのが、これまた大仕事だった。切手代もバカにならないしね。

        中華料理屋で、ビールを頼んだらキリンだったので、シールをもらおうとしたら、すでに店のほうで剥がしてあった。これって、インチキだよね。応募シールだってビール代の内じゃないのかなあ。ウチの店では、ちゃんと下がってきてから剥がしてた。そうしたら、それを見ていたお客さん「当たったら、少し飲ませろよ。俺の分でもあるんだから」 「へいへい、残しておきますよ」 この分が当たったかどうかなんて、どうやったら解るというの?

        でもって、当たっちゃったんですよ。何口も出したのに、ようやく1セット。知り合いなんて、一口しか出さないのに当たっちゃって。どうも、何口出しても、同じ人には1セットのみって決めているんじゃないのかなあ。

        飲んでみました。右のが[復元醸造]といって、西暦1年当時の資料をもとにして復元したという、発泡酒。そうなんです。ホップを使っていない。当時は、ホップの代わりにシナモン、ウイキョウ、サフランを使っていたということで、その通りに作ったとのこと。これがですね、面白い香りがするのだが、旨いかどうかというと、けっして美味しいものじゃないのだ。苦味はけっこう強いのだけど、ビールというイメージからは、ちょっとはずれているような気がする。変なものを飲んじゃったという感じ。

        その点、左の[厳選素材]というのは、さすがに美味しかった。ホップも麦芽も水も、世界最高の素材を集めてきたというだけあって、これにはちょっと驚いた。

        楽しんでいる時に、父が入ってきたので、「一杯づつどう?」と薦めてみた。

        「ゴクゴクゴク。ゴクゴクゴク。ふうん、どっちもビールじゃないの」
        「そりゃ、そうだけどさ。どっちが美味しい?」
        「ビールはビールさ。味なんてみんなおんなじ」
        「そんなことないよ。ほら、こっちは発泡酒だし、こっちは最高の素材で作ったビールなんだよ」
        「そうかい? どれどれ、もう一杯づつおくれよ。ゴクゴクゴク。ゴクゴクゴク。うーん、私には同じにしか感じないがなあ。ごちそうさん」

        くっそー、そう言いながら、あらかた飲まれちゃった。味音痴に飲ませた私がバカだった。

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