January.30,2001 まつおかの味噌おでん

        今、名古屋で味噌味で煮込んだおでんを食べたいと思っても、なかなか見つからない。みんな関東風か関西風の醤油味だ。美味しいと思うんだけどなあ。おでん屋の看板を見つけて飛び込んでも、「ウチは醤油味だけれども、味噌つけてあげればいいんでしょ」なんて言われてしまう。違うんだよなあ、それじゃあ意味ないんだ。

        コロッケの公演を名古屋で見て、そのまま名古屋名物を何も食べずに帰るのは口惜しいなあと思いながら、中日劇場のまん前の三越の地下食品売場を歩いていたら、惣菜売場で味噌おでんを売っているのを発見した。

        そうだ! これを買って帰り、我家で一杯やろう。まだ午後3時だというのに、もう残りは御覧のように僅か。「あっ、おねえさんね、卵と焼き豆腐と大根ね。それでタレはたっぷりね」。コタツに入り熱燗を一本つけ、大根と焼き豆腐で雪見酒。いい気持ちになったところで、アツアツご飯の上に味噌ダレがよーく沁み込んだ卵と残りのタレをかけ、卵をバラバラにほぐしていただきました。その旨かったこと! よおし、今度から名古屋土産はこれに決定!


January.24,2001 御料理弁当

        コロッケの昼の部の公演を名古屋まで日帰りで見に行ったのには、夜の街で美味しいものを食べる目的もあった。ところが、この日は雨か雪になるという予報。11時から始まった公演も、第一部が終演したのが12時40分。ロビーの窓を覗いてみたら雪が降っていた。劇場の人に訊くと12時から降り出したと言う。たった40分で、もう道路には積もり出している。2時25分の第二部終演時点になると、視界は真っ白。このままでは、新幹線が動かなく恐れがある。夜の食事は諦めて早いうちに帰京した方が良さそうだ。

        味噌カツ、味噌おでん、味噌煮込みうどん、きしめん、ひつまぶし、名古屋コーチン、手羽先、全て断念。何をしにきたのか分からなくなってきたが、仕方ない。午後4時には10分遅れだという新幹線の車中の人となる。東京まで駅弁とビールで寝て行こう。名古屋駅には3社の駅弁業者が入っていることもあって、その種類の豊富なことはうれしい。3社が競って特徴のある駅弁を出していて、いつも迷ってしまう。今回は新製品だという[御料理弁当]にしてみた。

        酒飲みにとって、ご飯は少なくていいからオカズが多いという弁当はうれしい。ビールをチビチビやりながらオカズを摘む。ビールを飲み終わってから、残ったオカズでご飯。これがどんなに有難いことか! オカズをビールで全部食べてしまっても、この弁当のように蟹ちらしのようにしてくれていたら、それだけでも食べられる。

串カツヤキトリ(モモ、つくね)ウインナーソーセージレタス
エビの塩茹でがんもどき蓮根椎茸さつまあげボール
鯖塩焼き鶏照り焼き卵焼き蒲鉾うずらの卵うずら豆
桜漬け
蟹ちらし錦糸卵グリーンピース

ごちそうさまでした。


January.20,2001 タイの駅弁といえば 

        タイの駅弁で思い出した。私も一度だけタイに行ったことがある。もう20年くらい前の話だ。バンコクをふりだしにしてシンガポールまで行ってみようと思った。詳しい話は、そのうちに書くかもしれないが、とりあえず今回はタイの駅弁。

        南部のホア・ヒンという町で一泊した。王族の別荘があるという海岸沿いのリゾート地だ。今では、けっこう日本からのパッケージ・ツアーもあるようで、ちょっと有名になっているが、当時は一般にはあまり知られていなかったと思う。この町で一番大きいと思われる[レイルウェイ・ステーション・ホテル]というのに泊まった。さぞや高いだろうと思ったら、シングル・ベッドで、シャワー付きの部屋が、オフ・シーズンだったこともあって、確か日本円で1000円前後だったと思う。コロニアル風の、古い、いいホテルだった。

        大きなクラゲが打上げられた、犬以外にはほとんど誰もいない海岸でボンヤリしていた。寝ッ転がっているとオバサンがバナナをうりに来たので、それを買って食べ、マッサージをするというオバサンには体を揉んでもらった。ホテルの広い中庭を散策し、大きな扇風機の回るホテル内の食堂で食事をした。その食堂には、物欲しげな犬が2匹、客の食べ残しを期待するように床に寝転がっており・・・、いかんいかん、ついつい話が余計なことに行ってしまう。そう、タイの駅弁の話だ。

        二日目の夜、バンコクを立ちマレーシアに向かう国際列車に、ホア・ヒンの駅から乗った。普通の客車のようだが、夜は二段式のベッドが壁から出てきて寝台車になる。ホア・ヒンの町で買ったメコンのポケット瓶を飲みながら硬いベッドで眠った。

        翌朝、列車はある駅に止まった。ホームには、物売りがたくさんいた。子供の姿も多かった。そうだ、朝食はここで済まそう。食堂車は混んでいるだろうし高そうだ。私は、少年がトレイに乗せて持っていたカップに入っているご飯が気になった。上には目玉焼きも乗っている。日本円で数十円だったと思う。焼き飯だった。

        列車が動き出した。車内はベッドが折りたたまれて壁に収納され、普通の客車に戻っている。ボックス席の私の前に座った男性は、駅でお粥を買ったらしい。タイはビニール袋文化国だった。ジュースを買うと氷とジュースをビニール袋に入れ、ストローを挿して渡してくれる。そう、なんとこのお粥、透明のビニール袋に入っているのだ。この男性、猫舌らしくて、お粥が冷めるまで待っている。やがてこのビニール袋に生卵を落とし、かき混ぜ始めた。そして、スプーンで、さも美味しそうに食べ始めたのだが、目の前で見ている私には、そのビニール袋の中身は、乗り物酔いで吐いたゲロのような・・・。


January.15,2001 プラームック・ヤッサイ・カオニヤオ・トムカティ

        今年も恒例の京王百貨店新宿店『元祖有名駅弁と全国うまいもの大会』が始まった。ほとんど毎年これを楽しみにしている私だが、新聞広告を目にしたときに「今年はこの弁当にしよう!」と即座に決めてしまった。それは[タイのイカめし]

        「[鯛の烏賊めし]って何だよ」なんて言わないでもらいたい。タイランドの駅で実際に[イカめし]が売られていたのだ。

        なになに、「特別企画、[タイのイカめし]。タイにもあった! 駅弁[イカめし]。21世紀初の駅弁大会は、ついに海外駅弁の登場です。タイで、3年前まで売られていたという駅弁[イカめし]。果たしてそれはどんな味? もち米を詰め込んだイカをココナッツミルクでじっくりと煮込んだタイ南部の味。やさしい甘さ、ほのかなにんにくと香辛料の香り。なぜか懐かしさを感じるから不思議です。タイ サイタイ(南部線) ハジャイ駅 プラームック・ヤッサイ・カオニヤオ・トムカティ 650円。一日限定700食」

        こ、これは何としても早く行って、限定の700食のひとつを手に入れねば。というわけで行ってきました。10時開店のデパートに10分ほど遅れてしまった。さぞや[タイのイカめし]のコーナーは長蛇の列だろうなあと思ったら、拍子抜けしてしまった。誰も並んでいやしない。手持ちぶたさの店員さんから、ひとつ売ってもらうと、いそいそと帰宅。さっそく、取り出してみた。

        小ぶりのイカめしがふたつ。下に笹の葉が敷いてあり、赤ピーマンが添えてある。広告の写真では、レタスが敷いてあって、添えてあるのはプチ・トマトだったけど、まあ、いいか。森駅のと同様、楊枝で止めてある。頭の方から齧り付く。甘い。森駅のものを期待すると外れてしまう。もうココナッツミルクと砂糖の甘さが全てみたいな味です。軽く塩味にしていますがイカって元々淡白なものだから、日本人としてはもう少し濃い味付けが欲しくなるところ。

        中に詰めてあるもち米ですが、そうですね、オハギのまわりの餡子を取り去ったものだといえばいいでしょうか。これまたやはりココナッツミルクと砂糖で甘くしてある。

        箱に包んであった水色の紙を見ると、高田馬場の[タイ屋台料理 カオタイ]としてあったから、この店に頼んで再現してもらったものらしい。タイ料理というと辛いというのがイメージとしてありますが、結構甘いものもあるんですね。人気の森駅の[いかめし]は、やはりふたつ入って470円。ほとんどの日本人は、森駅の方が口に合いそうですね。


January.10,2001 残業の出前が減ったわけ

        夜の出前が減ったような気がする。いろいろと原因が考えられる。

(1)まず、会社の残業が減った。バブル期のように仕事が多く、みんな遅くまで仕事をしている時代は終わった。会社の残業があると当然、ウチあたりに出前の注文が舞い込みウチは商売になっていたのだが、残業自体が無くなってしまっては、ウチはまるでおよびでない。

(2)もっというと、近くに会社が減った。露骨にいうと、倒産してしまった会社が多いのである。ウチの店の周りは、繊維業界が多い。もう倒産してシャッターを閉めてしまった問屋がずらりと並んでいる。誰からともなく[シャッター通り]などと自嘲的な言葉が聞えてきたりする。特に和服は今やほとんど着る人がいなくなってしまったものなあ。

(3)ライバル店が増えた。弁当、ピザ、寿司、中華料理などを届けてくれる宅配専門店が過当競争になってしまうのではないかという勢いで増えてきている。

        そして先日、私はコンビニで気がついた。そうか、みんな、コンビニで残業用に弁当などを買い込むようになっていたのだ。しかも、ショックだったのはサンドイッチとおにぎりをプラスチックの籠に大量に入れてレジへ持っていっているOLを目撃したときだった。そうか、社員がひとり代表してコンビニへ行って、サンドイッチやおにぎりをまとめて買ってくればいいのだ。

        そして我に返ってみると、私もいつも休日の朝には、ホームページを作る前にコンビニに寄り、おにぎりとペット・ボトルのお茶を買っているのに気がついた。そうなのである。これはもう調理の必要がなく、すぐに食べられるだけではない。こうやってモニターを見てキーボードを打ちながらでも、ちょっと手を伸ばせばサンドイッチやおにぎりを食べることができる。仕事を中断して食事に専念するなどということをしないで済むのだ。一刻も早く仕事を終わらせるためには、これは合理的といえる。

        そして、コンビニのおにぎりって、けっこう美味しいのだ、これが。やられたなあ。これは逆襲に転じなければなるまい。よし、明日は対抗策を『翁庵新メニュー開発ぷろじぇくと』でやろう!

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