October.22,2001 山のホテル レストラン・ヴェルボア

        この夏、両親を連れて箱根の[小田急山のホテル]に避暑に行ったわけだが、チェック・インと同時に、夕食の予約を入れてくれと言われてしまった。「夕食の予約?」と訊き直すと、ホテル内にある三つのレストランのどこかへ予約を入れて食事をして欲しいとのことであった。その三つのレストランとは、和食、フレンチ、イタリアン・バイキングの三種類だと言う。迷った。もうそんなに量は食べられないから、イタリアン・バイキングは無しだとハナから決めていたが、和食かフレンチかと言われて、少々迷った。父は絶対的な和食党。フランス料理など絶対に旨いと言ったことがない。ここはやっぱり和食かなあと思ったのだが、ホテル内を歩いているうちに、気が変わってしまった。和食を出してくれるレストランは建物の奥にあり、窓がない。ところがフランス料理を出す、ヴェルボアというレストランはテラスに面していて、外の景色が見えて開放的なのである。結論は出た。目先も変わっていることだし、思い切ってフランス料理を両親に食べさせてやろう! さっそく予約を入れると夕方の早い時間なら空いていると言う。まだ外が明るいうちに芦ノ湖を眺めながら食事するのもいいだろう。

        これは正解だった。テラス寄りの席に案内されたが、眺望はバツグンだった。このテラス席もやがて時間が経つうちには満席となった。



        ソムリエに言って食事に合いそうなボルドーの赤を選んでもらう。これがまた絶品だったのだが、びっくりしたのが、ワインなど絶対に好みではない父が「旨い!」と言ったことだ。「ワインがこんなに旨いなんて思わなかった」と言って飲んでいるのだ。どこへ行っても燗をした日本酒しか飲まない父がだ! 「日本酒もらおうか?」と話しかけてみても、「いや、これが美味しいんだ」と答えて、オードブルのマスやカンパチや牛タンのスモークを美味しそうに食べている。味覚が変化したのだろうか、夏向きに作られたジャガイモの冷たいスープを「旨い、旨い!」と実に美味しそうに飲むのである。以前は冷たくしたスープなんて、まず飲みはしなかった。さらにはステーキやら太刀魚の料理(下の写真)なども「こんなに旨いものは食べたことがない」とたいらげていた。



        いや、父の味覚が変わったのではないのだろう。ここのフランス料理は本当に美味しかった。やっぱり本物はちがうのである。ワインをもう一本もらい、デザートと紅茶。味よし、眺めし、そしてスタッフの皆さんのもてなしの態度とよし、すっかりいい気分になって部屋へ戻り、眠りについた私たちだった。レストラン・ヴェルボアのみなさん、いい夜をありがとう!


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