February.1,2005 マクドナルド

        『スーパーサイズ・ミー』というドキュメンタリー映画を観ると、いろいろなことを考えさせられる。1ヵ月間、一日3食、マクドナルドの商品だけを食べ続けていると、どうなるかという実験をするという内容なのだが、これがとても面白い。

        私はめったにマクドナルドへは行ってないと思っていたのだが、それでも年に4回くらいは利用しているようだ。先週はキャンペーンに惹かれて行ってしまった。ハンバーガー類をひとつ買うと、ハンバーガーをひとつ貰えるカードをくれるというのに乗ってしまった。我ながら意地汚いと思うのだが、どうもこういうのに弱い。期間限定の、たまごダブルバーガーなるものを買った。日本では毎年秋にやっている月見バーガーとほぼ同じコンセプトの商品。ハンバーガーが2つ入っていて、それに目玉焼きが加わる。マクドナルドを食べるのは、随分久しぶりだったが、美味しいと思った。

        最初にマクドナルドのハンバーガーを食べたのはいつだったろうか? もうかれこれ25年くらい前になるに違いない。銀座にできた店に立ち寄り、テイクアウトして食べた記憶がある。そのときの印象はとにかく不味いというものだった。「これって、肉?」というくらいハンバーガーに味がしない気がした。

        それでも当時、昼食にマクドナルドを買ってきて食べるという行為は割とやっていたような記憶がある。いつも決まってハンバーガーにシェイクだった。コーヒーではなくシェイク。ハンバーガーよりもこのシェイクが目当てだった。世の中にこんな美味しいものがあるのかと思ったものだった。アイスクリーム好きの私は、このアイスクリームとジュースの中間をいく飲み物にすっかり心を奪われてしまっていたのだ。チューチュー吸ってもなかなか入ってこないこの飲み物は本当に旨いと思った。

        さあ、ここで私たち日本人にとっての食生活は大きな転機を迎える事になった。子供のころに家庭で食事をするときに、ジュースやコーラなどの甘い飲み物を飲むという事は、どこの家庭でも禁じられていたはずだ。たまに家族旅行に行ったり、あるいは誕生パーティーのときなどに、おとうさんがビールを飲むんだからと言って、子供たちにも例外的にジュースが認められたという家庭が多かったはずなのである。それがマクドナルトの出現によって、これがガラガラと崩れ去ってしまうことになる。マクドナルドではセット・メニューがあり、ハンバーガーとフライドポテトと飲み物が一緒でお買い得価格になっている。それでついつい、このセットを注文することになる。子供にコーヒーは毒だろうということになると、必然、ジュースやコーラの類を貰うことになる。日本のマクドナルドには烏龍茶もあるようだが、そんなものを好む子供は少ないだろう。

        マクドナルドは大きな勢いでチェーン展開が進み、どこの町に行っても必ずといっていいくらい存在する。日本だけではない。海外どこへ行ってもマクドナルドは存在する。以前、数人で香港に行ったとき、ひとりだけどーしても中華料理に馴染めない人間がいた。一緒に食事しても料理に箸を付けようとしない。食事が終わると必ずマクドナルドへ行ってハンバーガーを買い、ホテルに戻って食べていた。「味は日本と同じかい?」と訊くと、「同じだ」と答えが返って来た。味覚音痴のやつだから、この言葉を鵜呑みには出来ないが、彼にとっては食べたこともない中華料理よりも、マクドナルドの方が安心するのかも知れない。

        そういえば、アメリカでマクドナルドに入ると、注文が通じないという話を読んだことがある。[ハンバーガー]という発音も難しく、だいたいからして『スーパーサイズ・ミー』を観ているとわかるように[マクドナルド]という名称自体、日本人の発音とは大違いだ。唯一通じやすいの商品は[ビッグマック]なんだそうだ。

        日本人がマクドナルドを食べ続けても、あまりその身体がスーパーサイズにはなる人は少ないような気がする。程度問題なんだろう。映画でも出てくるように、アメリカのSサイズの飲み物は日本でいうところのMサイズ。その昔、ハワイの映画館に入ってLサイズのルートビアを買ったら飲みきれなかったのを憶えている。これにポップコーン。これもLなんて言おうものならバケツみたいのを手渡される。しかも「バターかけますか?」だもんなあ。高カロリーになってスーパーサイズのアメリカ人が増えるわけだ。


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