風雲電影院

アフターショック(Aftershock)

2013年10月31日
ヒューマントラストシネマ渋谷

 “シッチェス映画祭”ファンタスティック・セレクション2013、5本目。アメリカ映画。今まで観た4本が、そこそこ、あるいは失望といった出来だったので、あまり期待していなかった。朝方、チケットを予約して行ってみると満席。いままでガラガラだったのに、この状態という事は、『アフターショック』に関してだけ言えば、面白いという口コミが広がったのではないかと期待が膨らむ。
 そして、これが大当たり。今までの不満がこれ一本で吹っ飛んだ。低予算映画ながら面白くできている。ここで上映される映画は、そのままDVD行きになってしまうわけだが、これは劇場公開してもいけるのではないか。おそらくそれを阻んでいるのが、地震、津波が出てくるからだろう。

 チリへ遊びに来たアメリカ人が、チリ人の友人ふたりと合流。ワイン工場に行ったり、町並を眺めたりと観光を楽しむ。夜になってディスコへ行き、3人のオネエチャンをナンパして大騒ぎ。このあたりのバカさ加減も結構面白く見せていて退屈しない。後半の見せ場のひとつ教会のエピソードに繋がる伏線もここで、さりげなく、それでいてしっかり仕込んでいる。

 約1時間半の映画だが、3分の1ほど進んだところで大地震が起こる。6人が遊んでいたディスコも上から照明などが落ちてきて大パニック。地震が収まって外に出ると、それに便乗して暴動が起きていて、商店などが襲われ危険な状態。3.11のときの日本人の静かな対応を考えると、ラテン系って危ないよなというおいがする。実際はどうか知らないが。
 しかも津波が来るという噂まで流れている。さらに輪をかけて、刑務所が崩壊して凶悪犯がドッと街に流れ込んできて、やりたい放題。
 逃げる主人公たちに、このムショ破りの囚人たちが襲ってくる。

 これから観る人のために、これ以上はネタバレになるので書かないようにするが、実に面白く作ってある。ラストなんてもう「あっ!」という感じの幕切れ。
 『ホステル』のイーライ・ロス監督が制作・脚本している。『ホステル』も知らない国の街に行った人間が怖い目にあう話だったが、これもその延長線上にあるような気がする。
 細かいことを言うと、おかしなところとか、無理矢理といったところもあるのだが、そんなもの気にならなくなる。
 これは拾い物でしょ。

11月1日記

静かなお喋り 10月31日

静かなお喋り

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