風雲電影院


アズミ・ハルコは行方不明

2016年12月13日
ユナイテッドシネマ豊洲

 かつて私の大学生活も終わりに近づいた頃のこと。就職活動を甘くみていたしっぺ返しのように、受ける会社、受ける会社から不採用通知を受け取って、落ち込んだ毎日を過ごしていた。仲間内でも男女を問わず、さっさと内定を貰ったり、コネを使って就職を決めたりする人間が現れるなか、私を含めて、いったいと゜うしようかなんて思っていた人間も少なからずいたようだった。
 そんなとき、ふと思ったのは「ジョシっていいよな〜」ということ。希望する会社に入れなかったとしても、エリートコースに乗った将来有望な男でも見つけて結婚しちゃえばいいんだし、大金持ちの御曹司とでも結婚すれば、それこそ玉の輿。労せずして優雅な暮らしが手に入れられるじゃん・・・なんてなこと。
 もちろん今では、そんな浅はかな考えはしなくなった。だって、それこそ玉の輿に乗ろうなんてタイヘンなこと。なんたってまず、生まれついての美貌がなければ苦戦は必至。よっぽど性格がよかったりの長所でもなければ、不美人であることはハンデになってしまう。その上で、いわゆる「いい女」である必要がある。この「いい女」であり続けようとするには、頭も体もそうとうな努力がいるだろう。そんなことを考えたら、「ジョシはいいな〜」なんて軽々しくは思えないだろう。

 4〜5年前に、シャーリーズ・セロン主演の『ヤング≒アダルト』を観た時に、結婚適齢期の崖っぷちに立ってしまったアラサー女性(実際設定ではもう37歳ってことだったから、崖っぷちも崖っぷち)のキレ方が妙にかわいくて、「アラサー女性いいな」と思ってしまった。以来、アラサー女性が映画に出てくると喜んで観ていた。でもそれも、自分が30前後のときのことを思い出してみると複雑な気分になってしまって・・・。いたんですよ私が30歳近くになったとき。私は「結婚なんて面倒だから、どうでもいいや。でももう何年かしたら結婚してもいいかな」くらいに考えていた時期。同世代の女性たちの動きがおかしくなってきた。そうなんですね。彼女たちにとって結婚するなら、もう適齢期はそんなに長くないと思う人が増えていたんでしょう。それに気が付かない私も私なのだけれど、アラサー女性が登場する映画を観て、「かわいい」なんて思っている最近の自分もどうなのよって気がしてきて、この場で懺悔したくなってしまった。

 蒼井優扮する安曇春子は4人だけの小さな会社に勤める27歳。給料手取り月13万円。なのに社長と専務は月100万円。春子の同僚の寿退社に伴い、新入社員を募集する。パソコンが使える社員が欲しいのだが、よさそうな応募者は男性。「男はダメ。たくさん給料払わなければならないから」と、春子を前にして堂々と言い放つ。しかも「女は28までに結婚しないと行き遅れる」と、春子まで追い出そうとするクソオヤジコンビ。

 こういう男って本当にいそうだね。こういうのを観ると、「ジョシっていいよな〜」なんて、傍で思っていたのは大間違いで、今の社会のなかで「ショシって生きにくいよな」と思ってしまう。

 この映画には春子以外に、20歳そこそこの若者たちが登場する。高畑充希扮する愛菜と中学時代の同級生の男ふたり。この3人が、まあ揃いも揃って言葉遣いも今風の若者でイライラするのだけれど、それが春子と接点を持ってくるってお話。

 なんかね〜、この映画自体は私にはピンと来なかったのだけれど、重要と思われるのは、無差別で男に集団で襲いかかり、男をボコボコにしてしまう女子高校生たちの存在。男社会の腐敗に気が付いた女子高校生による反乱なのだろうか? いい気になっている男たちよ、気を付けろ! いつかそんな日が来ないとも限らない。

12月14日記

静かなお喋り 12月13日

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