風雲電影院

バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所(Berberian Sound Studio)

2013年10月30日
ヒューマントラストシネマ渋谷

 “シッチェス映画祭”ファンタスティック・セレクション2013、4本目。イギリス映画。

 単身、イタリアの映画編集スタジオに仕事でやってきたイギリス人の音響効果マンが主人公。来てみると実は魔女を拷問する映画だった。乗馬の映画だと聞いてきたのに話が違うと言えば、乗馬シーンは初めのところだけだと言う。実態はひたすら拷問シーンが続くという惨たらしい映画。イタリアのホラーといえば、ダリオ・アルジェント。残酷シーンで有名で、イタリア製ホラーといえば残酷というイメージが出来上がってしまった。

 この映画監督は、やりたい放題な独善的な男で、アテレコ女優は食い物にしているし、音響効果マンが文句を言っても、グズグズ言ってないで働けと王様状態。イタリアに来るまでの飛行機代を払ってくれと請求しても、なんのかんの言って払ってくれない。
 映画は最初から最後まで編集スタジオ内部だけしか映さない。しかもこのスタジオ、やけに照明が暗い。いかにフィルムをスクリーンに投影しながらの作業とはいえ、こうもいつまでも真っ暗って、あるの?
 ひたすら気持ち悪いシーンに音響を付けなければならないのが続いて、音響効果マンも精神に異常をきたし始めてしまう。

 編集中の映画自体は映らないが、こんな映画絶対に観たくない。

 音響効果マンの話というと、ブライアン・デ・パルマの『ミッドナイト・クロス』を思い出すが、こちらも、意外なもので音を作っているのを見られて面白い。キャベツ、スイカ、柿などが山のようにナイフや棍棒の犠牲になっていくのを観せられると実に興味深いものがある。こうやって音を作るのかという知識が得られて楽しい。

 しかしこの映画、イギリスからやってきた音響効果マンが、どんどん精神的に追い詰められていくというだけの映画で、それ以上に発展していかないのが辛い。これも、ところどころ眠気が。やたらと長い邦題の割に92分とコンパクトなのは救いか。

10月31日記

静かなお喋り 10月30日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置