風雲電影院

ブロンコ・ビリー(Bronco Billy)

2015年4月1日
NHK−BS放映録画

 1980年、クリント・イーストウッド主演・監督作品。公開当時一度劇場で観ているが、ほとんど忘れてしまっていた。ワイルド・ウエスト・ショーをしてアメリカ中を回るブロンコ・ビリーとその一座の物語。

 この映画のハイライトは一座のテントが焼けてしまい、ビリーが馬に乗り、ほかの連中はオープンカーで列車強盗をしようとするシーン。ほとんど時代錯誤な事を考えているのだが、仲間のひとりは弓矢で列車を撃とうとしているという、思わず笑いがこぼれてしまうのところなのだが、この列車強盗をする直前でのソンドラ・ロックとクリント・イーストウッドの会話がいい。

 「あなたは夢に生きている。カウボーイなんて過去の遺物よ」
 「おれはニュージャージーのワンルーム団地で育ち、カウボーイも大平原も見たことがなかった。映画の中以外ではな。31歳まで靴のセールスマンでカウボーイに憧れていた。ある日、靴ベラを置き、都会には住まないと誓った。人生は一度きり。悔いは残したくない」

 西部一の早打ちという触れ込みで、ショーをして回っている男は、生まれつきのカウボーイではなく、アラサーになって人生の転機を、自分のやりたい方向に軌道修正した男だった。そして、彼の一座のほかのメンバーなるものは、ほとんどが刑務所で知り合った前科者ばかり。それが新たな人生を、このワイルド・ウエスト・ショー一座で踏み出したというわけだ。もうひとり、ベトナム戦争からの脱走兵というのまで混じっているというオマケ付。そうなんだよね、人生は一度きり。だから生きたいように生きた方がいい。ベトナム戦争に行って殺し合ったりすることで、一度きりの人生を悔いを残して過ごしたくない。だから、ブロンコ・ビリーは、世間的に冷たい目で見られがちな前科者や脱走兵と団結しようとする。その意思はあまりに強くて、時にみんなからの反撥もくらうことになる。

 でもね、思うんですよ。31歳になった男が、突然に、銃や乗馬を訓練して、そんなに、易々と上達できるものなのか? それほど経験があったとは思えない者がロープ使いの達人になれるものなのか? それはたまたまその人に並外れた才能があったからという事だけなんじゃないかって。

 まあねぇ、それこそ人生は一度きりなんだから、悔いを残さないように自分がやりたい事をやって生きるのがいいとは思うのだけど、そう簡単にいかないと言うのが、世の中っていうもの。ミュージシャンになりたいとか、お笑い芸人になりたいとかという夢を持って、たとえ売れなくても、人気が出なくても、貧乏してでもという人もいるだろうけれど、現実は、なかなかそれで悔いは無かったと思える人って、それほど多いとは思えないんだよねぇ。

 とはいえ、これも映画の中のことと思って観ている分には、ウェルメイドな娯楽映画で、さすがイーストウッドだよなと思わせる作品でした。

 映画の中だけで、自分の夢に生きるっていうのも、アリだとも思うんだけどなぁ。

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