カフェ・ド・フロール(Cafe de Flore) 2015年9月10日 新文芸坐 『ダラス・バイヤーズ・クラブ』Dallas Buyers Club のジャン=マルク・ヴァレ監督が、その一本前に撮った作品。時代も場所も違った、ふたつのストーリーが交互に描かれていく。 ひとつは1969年のパリ。シングルマザーのジャクリーヌ(ヴェネッサ・パラディ)は、ダウン症の男の子を抱えているが、彼女は息子を溺愛している。そんなある日、息子の通う小学校に同じ病を持つ少女が転校してくる。ふたりは一目で好きになり、いつも一緒にいたがるようになっていく。やがて母親に反抗するようになり、母親よりも、その少女の方が好きだと言いだす。 現代のモントリオール。アントワーヌ(ケヴィン・パラン)は妻キャロル(エレーヌ・フロラン)と離婚。二人の娘がいるが、現在、恋人ローズ(エヴリーヌ・ブロシェ)と親密な関係になっていて、どうやら再婚を考えているらしい。その状態のなか、キャロルは傷ついていく。 いったいこのふたつの話を、どう結び付けるのだろうかと思いながら観ていた。別に結びつかなくても、ふたつのドラマということでいいのかなとも思えてきたが、それなら交互に描かずに、中編二話のオムニバスでもいはず。そっちの方がスッキリするだろう。それが最後になっってこのふたつの話は突然に結びついた。なんだか「ええーっ」という感じだった。「そりゃないだろ」という気もしないではないのだが、どうしても結びつけるには、それしか手はないやね。 アントワーヌはDJをしていて、気分を変えるには、そのような気分になる音楽を聴くのがいいというのが持論。でもこのふたつの話、両方とも暗い内容で、使われている曲も楽しくなるような曲は少ない。印象的だったのはピンク・フロイドの『狂気』Darkside of the Moon から『スピーク・トゥ・ミー』Speak to Me 〜『生命の息吹き』Breathe それと『タイム』Time から目覚まし時計の音だけ(笑)。ピンク・フロイドじゃあ気分は明るく前向きにはならないやね。 とにかくどちらのストーリーも、観ていてどんどん辛くなってくる展開で、こういうドラマが好きな人も多いんだろうけれど、私などは途中でうんざりしてきてしまった。本来ならこういう話の映画って私は滅多に観ないんだけど、これは[新文芸坐]の『秋のエンタメウィーク』の一本。少なくとも暗い人間ドラマが上映されるわけはないのだがと思射始めたところで、あの結末だものなぁ。 一応、無理矢理ハッピーエンドのようになっているけれど、併映の『リピーテッド』と同じく、「ほんとにそれでいいの?」という気になってしまう終り方。 暗くても人間ドラマを観たいという人にはお勧め。映画観て、スカッとしたいという人には、これは向かないだろうなぁ。 9月11日記 静かなお喋り 9月10日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |