キャリー(Carrie) リメイク 2013年11月26日 TOHOシネマズ錦糸町 ブライアン・デ・パルマ版があるんだから、もうリメイクする必要は無い気がするのだけど。あれ以上何をやるのかと。 パルマ版の『キャリー』を観たときに、「ああ、アメリカでもいじめってあるんだ」と思ったが、いじめって人間が生きていると、どこでも不滅のテーマなんだね。これからも無くならないような気がする。嫌だね。 パルマ版のキャリー役、シシー・スペイセクって、かなり適役だった。すごい美人ってわけでもなくて、華奢な身体つきで、いかにもいじめの対象になりそうだったもの。そこへいくと今回のクロエ・グレース・モリッツって、かなりの美人。しかも体つきもいいときている。それに対していじめの側に回る女優さんたちがキャリーに対して見劣りしてしまうというのが辛い。パルマ版なんていじめの張本人クリス役にナンシー・アレン。キャリーを庇おうとするスー役にエイミー・アーヴィングだもんなぁ。また、好みもあるだろうけれどプロムでキャリーをエスコートするイケメンのスポーツマン、トミー役だってウィリアム・カットの方がいい男に思えてしまう。 それにパルマ版のトミーは、キャリーをエスコートするうちにキャリーを好きになって行ってしまうという感じがあって、そこでやけにキャリーがきれいに見える瞬間があるもの。リメイク版はあくまでトミーの演技ということで済ましてしまっているのが物足りない。 時代設定を現代に置き換えたので、ケータイが登場する。冒頭のいじめのシーンでクリスがキャリーがパニックになっている様子をケータイの動画で撮って、それをインターネットに流すという陰湿ないじめ。嫌な時代になったものだ。 それだけいじめもデジタル化しているが、例の豚の血の入ったバケツを天井に吊って、ロープを引いてキャリーにぶっかけるといういじめの手口は変わらずのアナログ仕様。このシーンのカット割りはパルマ版が素晴らしすぎて、リメイク版はそっくり真似も出来なかったらしい。パルマ版では、クリスたちが何かやっているのをスーが目撃。クリスの引っ張ろうとしているロープを目で追っていくと頭上のバケツを見つけるという、うまいカット割りだったのに。 ここまで不満だらけだったのだが、豚の血を被ってからのキャリーの復讐シーンは、やはりCGもふんだんに使えるようになって迫力がある。大パニックのプロム会場は観る価値あり。クルマで逃げるクリスを追っかけて行って超能力で破壊する物凄さは、さすがにオリジナル版は敵わない。倍返しどころか100倍返しみたいな映画。 最後のドッキリはやるかなと思ったら、二番煎じは避けていた。思うに、オリジナルは名作だし若い人でも観ている人が多いだろうから、あからさまな繰り返しは避けたのかもしれない。オリジナルを映画館で観たときは女性の悲鳴が一斉に上がったものだったよなぁ。 11月27日記 静かなお喋り 11月26日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |