風雲電影院

アドレナリン:ハイ・ボルテージ(Crank:High Voltage)

2013年1月7日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 正月も七日までは松の内というわけで、正月気分での今年最初の上映は、去年『アドレナリン』上映後、続編の方も観てみたいとの声が上がった『アドレナリン:ハイボルテージ』。正月は何も考えないでいいような、こういうおバカな映画がいいかも。

 とはいえ、ホントに呆れかえるような悪ふざけ満載映画。

 前作の最後、シェブ・チェリオス(ジェイソン・ステイサム)がへリコプターから落下し、クルマの屋根に落下、大きくバウンドしてコンクリートの地面に叩き付けられたところから始まる。倒れていたステイサムの目がパチッと開くところで終わっていたが、まさにあのシーンから始まるのだ。しかもその前の部分はデフォルメしたアニメになっているというバカバカしさ。

 いかになんでも死んでるだろというツッコミは当然湧くのだが、そんなことでツッコんでいたのではこの映画についていけなくなる。そこへ救急車かと思ったら、黒いバンがやってきて、作業着を着た数人の男たちがシェブを連れ去る。中には大きなハガシみたいなのでシェブをすくい上げる奴がいたり、竹ぼうきで地面を掃除している奴もいる。ウハハハハ。

 もうこの時点で大きな冗談だといわんばかりだが、運ばれた先でシェブの心臓は取り出され、代わりに粗悪な人口心臓を入れられてしまう。現場には、いかにもな中国人マフィアのチンピラがタバコを吸っていて、覗き込むついでにタバコの灰を灰皿代わりにシェブの胸の中に落とすなんていうギャグもある。ククククク。

 シェブの無敵の心臓を、中国マフィアのボスに移植しようというわけだが、ついでに、これまた無敵のシェブのイチモツも取り出そうとしたところでシェブの意識が戻る。イチモツまで取られちゃたまらんというわけか、ここで大暴れ。アジトを逃げ出す。って、おいおい。

 どう考えても死んでるだろうというシェブが心臓移植手術の最中に目をさまし暴れ出すという事自体おかしいのだが、まあ、これもマンガなんだから。それより、なんで人工心臓を入れたのか。心臓取り出したら、あとはマフィアならほっぽいてしまいそうなものだが、それではこの映画が始まらないわけね。ウハハハハ。

 この粗悪品の人工心臓は時々充電してやらなければならないというシロモノで、自分の心臓を取り返そうと暴れまわっている途中でクルマのバッテリーやら、果ては変電所で充電を行う。変電所で充電したときは、なぜか敵もろとも巨大化し、東宝の怪獣映画のようになって戦うというバカバカしさ。あ〜あ、やっちゃったねぇ。そこまでやるかねえ。ガハハハハ。ウルトラマンもタイマーが切れかけたら充電できればよかったのにね。

 シモネタも前作以上に大爆発。ポルノ俳優たちのデモなんていうのは序の口。中国人売春婦役の女優さんなんて、いかにもなメイクされちゃって卑猥な言葉連発。しかも急スピードで走ってくるクルマに撥ね飛ばされ、即死かと思えばピンピンしてる。極めつけは前作でも登場したイヴちゃん(エイミー・スマート)。今回はなんと競馬場の、馬が走っているダートコースの上でセックスをする。良い子は観ないように。それは別としてエイミー・スマートはコメディエンヌとしても、もっともっと評価されていいと思うなぁ。カワイイし、こんな役でも嫌がらずにやるし。もっともこんなのに出るから評価されなくなっちゃうのかもね。アハハハハ。

 とにかく冗談として作られている映画。エンド・クレジット・タイトルの途中でNG集が挿入されていて、ジェイソン・ステイサムが「真面目な顔が出来ない」とひっくり返って笑い出してしまっている。

 どうやらこの二作で打ち止めで、もう続編は出ないだろうけど、こういうおバカでお下劣な映画って、なかなか無いだけに貴重ですな。

 やっぱり私など『レ・ミゼラブル』などより、こっち。

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