ジャッカルの日(The Day Of The Jackal) 2013年7月15日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 フレデリック・フォーサイスの原作小説は翻訳が出てすぐに読んで、映画の方もロードショウで観た。もう40年も前の事だ。 小説を読んで感心したのは、なんといっても特別注文する狙撃用ライフル。バラバラにするとスチール製の管だけになってしまい、持ち込むのに容易という優れもののアイデア。原作でも、注文するときの描写では管を注ぎ合わせて組み立てるというような表現しかしていなかったと思う。それがいよいよ決行の日に、あのような形に変化して持ち込みに成功すると明かされた時には、「なるほど!」と膝を叩いたのを憶えている。映画もそこのところはちゃんと前半部では隠しているから、観ていて「よしよし」と思ったものだった。 なにしろもう40年も前だから、観た当時の記憶はもうだいぶ薄れかけていた。今観ると、原作にかなり忠実だということもさることながら、地味な作りだったんだなと思う。極力、派手な演出は押さえて撮っている。なんだか拍子抜けするほど。 この初期のころのフォーサイスは本当に面白かった。『オデッサ・ファイル』とか『戦争の犬たち』とか夢中になって読んだ。その後、あまりこれといって評判にならなくなってしまったが、小説の構成の仕方が巧みで、ついつい夢中になってしまったものだったよなぁ。 監督はフレッド・ジンネマン。最新のベストセラーの話題作をなんでこんな、当時もう古風になりつつある作風の監督に任せたのか気になるところ。いや、実際にこの起用がうまくいっているし、あまり有名な役者を使わなかったのも成功のカギだったと思う。初期には『真昼の決闘』という傑作があるし、『ジャッカルの日』のあとにも『ジュリア』という、これまた面白い映画があるが、名画座の三本立てだかで『尼僧物語』を観たときには、ひたすら苦痛だった嫌な思い出がある。 7月16日記 静かなお喋り 7月15日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |