風雲電影院

ディーバ(Diva)

2013年5月9日
新文芸坐

 1981年作品。フランス映画。

 公開当時に観たときに、途中でウトウトしてしまったが今回も、ところどころ眠ってしまった。やけに評判がよくてリバイバル上映されたわけだが、このフランス映画独特のヌーヴェルバーグを引きずったような撮り方に私はついていけない。

 まず私はオペラにまったく興味を感じないというのもあるのだろう。この映画の黒人の女性歌手の歌は素晴らしいとは思うが、オペラを観てみたいという気にはならない。

 その女性歌手の歌声に郵便配達の青年が心頭してしまい、バイクで郵便物を配達しながら盗み録りしてきたテープを聴いている・・・って設定もなんかヘンに思えてしまう。人の趣味だから勝手なことは言えないけれど、オペラが好きでそれを仲間にも公言しているって、浮いた存在になりそう。ロックが好きだというのなら自然なんだけど。

 この女性オペラ歌手がまたヘンなんだ。レコードを出すことを拒否しているのだが、その理由がよくわからない。周りからも(レコードを出さないでいると)粗悪な海賊版が出回ることになると言われても、あくまで拒否。それで仕方なく郵便配達の青年は公演をを盗み録りして聴いているわけだ。客席からテープレコーダーで録っているんだから、そんなにきれいには録れないはずなのに、かなり鮮明な録音。少なくともあの当時のテープレコーダーではなおさら、あんなにきれいには録れない。

 この青年がまたよくわからない性格の男で、いわば今でいえばオタク。この男の事をあまりキッチリ描いていないから、なんだか気持ち悪い奴にしか見えない。これでデブで引きこもりだったら、危ないやつでしょ。ドレスを盗むなんてヘンタイでしょ。

 それにこの青年を助ける、ベトナム人の少女と、ジグゾーパズルをやっている男というのもなんだかよくわかんない。日本のゲージュツ映画にも出てくる地に足のついてない、わけわかんない存在。こういう登場人物ばかりだと、私はまったく作品世界に入っていけない。

 それに人身売買の売春組織がからんでくるのだが、これが警察とグルになっている。そういうのもわからないではないけれど、今となっては古臭い感じ。麻薬っていうならわかるけれど、人身売買の売春組織って・・・ねぇ。未成年者を人身売買で売春させるっていうのは今でもあるけれど、どうも成人女性だし。

 主人公を追っかけてくる組織の人間というのも、やる気あるのかねという感じ。いかに1981年の作品といえども古〜いタイプの悪役。

 それで、諸々が片付いてのラスト。この黒人女性のオペラ歌手がなぜレコードを出さないのかが明らかになる。どうもこの人、自分の歌ったものを聴いたことが無い・・・って、唖然。ありえねぇー! だいたいからして怠慢でしょ。自分の歌を客観的に聴いて練習しろよって事でしょ。嫌なディーバだねぇ。

5月10日記

静かなお喋り 5月9日

静かなお喋り

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