ドノバン珊瑚礁(Donovan's Reef) 2015年6月8日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 1963年。ジョン・フォード、ジョン・ウェインのコンビは、これが最後だった。この黄金コンビの作品なのにあまり語られることがない。私も当然、未見だった。 南太平洋の島が舞台の、なんともホンワカした映画で、なんでこんな映画をジョン・フォード、ジョン・ウェインで撮ったのかわかんない。太平洋戦争中に日本軍の攻撃で漂流して南の島に辿り着き、戦後もそのまま、その島に居ついてしまった三人の男のオハナシ。基本はここでも西部劇。いわば三人の男が西部のある町に流れてきて、そのまま居ついてしまったという設定と同じなんだろう。ただ、流れ着いた場所が南の島なので、そのまま、の〜んびりと暮らしている。ジョン・ウェインのドノバンは、いろいろな事業に手を出しているらしく、その上、酒場も経営している。その名前が、Donovan's Reef というわけ。 な〜んかね、アメリカ人が戦争とか、そういうことでなく南の島を乗っ取ったんじゃないかという、その構図が、私にはあまりいい感じがしないのですよ。考え過ぎかもしれないけどね。 なぜか黒の紋付の着物をだらしなく着て、ふんぞり返っている姿も腹立たしいし、日本人のメイドが、ふたりいて、いつも和服姿。これもなんとなく日本をバカにしてるみたいでね、あんまりいい気持ちはしない。 南の島の話なのに日本人を含めて東洋人がやたらと出てくるというのもなんだかねえ。もちろん日本人のハワイ移民は多いんだけどさ。 中国人が、酒場・ドノバン珊瑚礁で、壊れているスロットマシーンに群がって夢中になっているというのも、いかにもギャンブル好きの中国人らしい(広東語のように聞こえた)けれど、これもなんだか、いい感じがしないなぁ。 とにかく西部劇のパターンを南の島に持ちこんだあたりで無理がある。のんびりした島の暮らし、別に敵対する悪者も出てこない。これといった事件も無い。いや、ないわけではない。この映画のストヘリー上、ひとりの女性がある目的でこの島にやってくるのだが、そのことなんかも、どーでもいい事のように思えてくる。それで話を盛り上げるために、意味なく酒場での乱闘シーン(アメリカ人、好きですなぁ)を入れたり。 やたら気の強い女が、最後にはジョン・ウェインを好きになりハッピーエンドっていうのも取って付けたような終わり方で、なんだかね〜。アメノカ映画ならではの結末。私にはちょっと鼻につきましたね。 悪役の印象が深かったリー・マーヴィンは、ここでいい役を貰ってるけれど、ラスト、いい意味でいえば少年っぽい、悪く言えばオタクっていうのも、どんなものなんだか。いやはや、こんなリー・マーヴィンは観たくなかったなぁ。 6月9日記 静かなお喋り 6月8日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |