風雲電影院

エリナーの愛情(The Disappearrance of Eleanor Rigby : Her)

2016年4月25日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 『コナーの涙』と対になっている映画。ある別れた夫婦の、『コナーの涙』は男性側から、そして『エリナーの愛情』は女性の側から撮っている。『コナーの涙』の方は未見。

 原題を見てわかるとおり、これはエリナー・リグビーだ。ビートルズの『エリナー・リグビー』とは関係ないと言われるのかもしれないが、ヒロインの名前はエリナー・リグビー。孤独で教会で死んで簡素な墓に入れられたエリナー・リグビーをどうしても思い出してしまう。

 冒頭、エリナーはマンハッタンブリッジから身を投げて自殺を図る。これは未遂に終わるのだが、彼女は悩みを抱えている。息子を亡くし、夫とも離婚して、もう自暴自棄になって自殺を図ったわけだ。救出されたエリナー・リグビーは入院の後、実家に帰る。

 離婚してしまったなら、何か働いて生活をしなければならないと思うのだが、彼女の選んだのは、父のすすめもあって大学で学ぶこと。裕福な家庭で育って余裕があるんですな。大学生活を楽しんで、時には羽目を外して、飲み屋で知り合った男性と意気投合して、もう少しで関係を結ぶ寸前までいってしまったり。とにかく、離婚してすぐにでもお金を稼がなきゃという立場の人から見たら、「うらやましい」としか思えない境遇。息子が死んだ原因は最後まで出てこないし、夫と別れた原因もよくわからない。はた目には自分で自分を勝手に傷つけているとしか思えないんですよ。それで挙句の果ては自分探しの旅にフランスに旅立って行ってしまう。はあ〜。結構な御身分ですこと。

 ビートルズの『エリナー・リグビー』って、20代のときのビートルズ(おそらくポール・マッカートニー)が書いた曲で、当時は割と好きだったのだけど、最近どうも歌詞が鼻を突いていやだ。なんかねぇ、上から目線なんだ。「あの孤独な人たちをごらん」 「彼らはどこから来たんだろう」 「彼らはどこへ行けばいいんだろう」って孤独な老人たちを歌っている。今になって、こっちも老人になってみると、20代の小僧に勝手なこと言われたくねえやという気分。ウォーレン・ウォーツを使って作ったパイオニアカーステレオ、ロンサムカーボーイのCM。「僕にとってロンサムとはフリーダムということなんだ」の方がしっくりくる。あんたに心配なんてされたくない。

 彼女の母親というのが、昼間っからワインを飲んでる芸術家。父親はどこかの教授らしい。最後にエリナーに、父と母はそれぞれ、ある告白をすることになり、それでエリナーの気が晴れたようなのだが・・・どちらも作り話かもしれないのだよ、エリナー。

 もう一本の『コナーの涙』の方を観てみないとなんとも言えないのだが、両親が裕福で、急いで働く必要もなく、自分探しの旅なんておやりになれるなんて、なんとも結構な御身分で、さっぱり感情移入ができなかったのですよ。

4月26日記

静かなお喋り 4月25日

静かなお喋り

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