風雲電影院

エンド・オブ・ザ・ワールド(Seeking a Friend for the End of the World)

2013年7月30日
キネカ大森

 小惑星が地球に激突して、世界が終るまであと3週間に迫る。これはSFパニック映画かなと思っていたら、えっ! ロードムービー?

 世界が終ると判ったら、人は何をするだろう。この映画の中では、確かに暴動が起こったり犯罪が起こったりもしているようなのだが、案外人はのんびりしている。商店も開いているし、飲食店も営業していたりする。それどころじゃないだろうと思うのだが、買う方はちゃんとお金を払い、売る方は適正の価格で売っている。地球が滅亡するというのに、最後まで同じ生活を続けようというのか。あるいは、土壇場で滅亡を免れるのを期待しているのか。

 ドッジ(スティーヴ・カレル)の家政婦も、黙々と働いている。「そんなことをしている場合じゃないだろう。もう来なくていいから」と言うと、「クビですか?」と悲しそうな顔をする。英語がよくわからないらしいという設定はあるのだが、だからといって地球滅亡が迫っているという事が、わからないということは無いだろう。どういう事だ? この映画、説明不足でわからない事がところどころにある。射殺されるドライバーとか、何があったのかわからない。

 まあそれはいいとして、ドッジの隣人の若い女性ペニー(キーラ・ナイトレイ)が、ずいぶん前に誤配されていたという手紙を持ってくる。まあなんともズボラとしか言いようのない女なのだが、その手紙の差出人がドッジの昔の恋人だったものだから、ドッジはその女性に会いに自動車に乗って出かける。それにペニーも付いてくることになり、ロードムービーの始まり。これまたよくわからないのがペニーはたいした荷物も持たない代わりにLPレコードを何枚か持っていく。なんなの、これ? いまどきレコードプレイヤーなんて、そうそうないだろうに。しかも邪魔くさいそのレコードを自動車を降りても、ドッジは抱えて歩いてやるって、いったいなんなんだか。

 まあ、いろいろあって戻ってきて、あとはふたり仲良く滅亡の瞬間を待つわけだけれど、ここでもドッジはレコードをかける。どんだけアナログ好きなんだ、この映画の登場人物たちは。それで、流れるのが、ウォーカーブラザースの『太陽はもう輝かない』(The Sun Ain't Gonna' Shine Anymore)。いや、この世の終わりなんだし、何を聴こうが制作者の音楽の好みなんだけど、私の音楽の好みとはかけ離れているというわけで。
 電気が止まってしまって、そこに流れるのが今度は、ハープ・アルバートの『ディス・ガイ』(This Guy's in Love with You)。あー、もうまったくダメ。ようするに、くどいようだが私の音楽の好みとまったく合わないっていうだけなんだけど。

7月31日記

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