フライング・ギロチン(The Guillotines 血滴子) 2013年12月11日 シネマート六本木 このタイトルでジミー・ウォングまで出ているとなれば、これは古くからの香港映画ファンは、どうしたって『片腕ドラゴン対空飛ぶギロチン』を思い出してワクワクするじゃないですか。監督だって『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウだし。 映画が始まると、のっけからフライング・ギロチンを使ったアクション。この武器も『片腕ドラゴン対空飛ぶギロチン』のころよりも進化していて、凄い迫力。CGも使っているから、おっかない武器になってる。相手の首に巻き付くと、どういう仕掛けなのか、いくつもの刃が飛び出して首チョンパ。地面に首がゴロッ。といっても、そんなにリアルには見せないから、気持ち悪いというほどじゃない。それよりも中盤での牛四頭での股裂きの刑の方が残酷。 フライングギロチンを使うのは清朝の暗殺部隊血滴子。これが原題なのね。英語タイトルはずばりギロチン。よく考えるとこの武器、怖い武器だけど、相手の首に引っ掛けなければあまり意味がないわけで、これを操るのは、そうとう熟練した技が無いと無理と思われる。さあこれから、この恐ろしい武器を持った怖い暗殺集団と、どう戦うのかと、否が応でも期待が高まるというやつだ。 ところが、この期待はこのあと、???となっていってしまう。肝心のフライング・ギロチンが活躍するのは、この冒頭のシーンだけなのだ。話は急に方向転換してしまう。てっきり、この暗殺集団に向かっていくヒーローの出現かと思っていると、暗殺集団を処分しようと皇帝が動き出す。敵役と思っていた血滴子たちは実は主人公の側。襲ってくるのは、鉄砲やら大砲やらを持った軍隊。フライング・ギロチンでは十歩離れた距離からでしか相手を倒せないが、鉄砲ならもっと離れた距離から殺傷できる。ましてや大砲なら破壊力はとてつもない。 で、そうなるとそれじゃあ、この旧式の武器でどう戦うかというのが見せ場になると思うでしょ。ところが、鉄砲や大砲の前に次々と討死して行ってしまうだけ。もうまったく歯が立たない。いや、いずれ逆襲に転ずるはずだと思っていると、このまま無残にやられっぱなし。倍返しどころか、な〜んにもできない。なにこれ? もともと、そういう娯楽大作にしようという意図は全くなかったんだというのがわかるのは映画が終ってから。歴史の悲劇を描きたかっただけなんだね。それなら、この日本語タイトルと英語タイトルは詐欺でしょ〜。それでそのドラマ部分がまたタルイし。 それと画面が暗くて汚い。どうも3Dとして作られたらしいのだけど、それも冒頭のシーンくらいしか効果なさそうだし・・・。 12月12日記 静かなお喋り 12月11日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |