風雲電影院

アパッチ砦(Fort Apache)

2015年10月5日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 いつも書いていることだが、私はマカロニウエスタンから入った映画ファン。きっとアメリカ製西部劇の好きな正統派の人たちからすると、昔の西部劇こそ真の西部劇であり、マカロニウエスタンなんてバッタもんだと言われるかもしれない。この『アパッチ砦』は1948年の作品。監督ジョン・フォード、主演ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ。バリバリの正統派西部劇だ。しかも騎兵隊とインディアン。私はどうもこの、騎兵隊とインディアンという構図の西部劇が苦手。それはある意味、戦争映画に近いもののような気がするからかもしれない。実は昔の戦争映画も私は苦手なのだ。マカロニウエスタンがきっかけでアメリカ製西部劇を観るようになったのはサム・ペキンパーあたりからで、それ以前のものは一部を除きほとんど観ていない。特に騎兵隊もの、インディアンものは、避けて通っていたようなところがある。

 それと、このころの西部劇って、なかなか撃ち合いが始まらない。ドラマとして楽しむなんていう余裕はガキだった私には「かったるい」としか思えなかったんですね。こういう映画を落ち着いて楽しめるようになったのは、ずいぶんたってからのこと。ようやく精神年齢が追い付いたってとこでしょうか。

 それにしたって、この映画、本筋に入るまでが長い。一応、カスター将軍の部隊が全滅した話が元になっているが、映画の半分を過ぎてもインディアンが出てこない。いくら私がインディアンが出てくる話が苦手だからって、ここまで何事もないと、「いい加減に話が進まないかなぁ」と思えてくる。

 とにかくジョン・ウェインはジョン・ウェイン。このころのアメリカ人はみんなジョン・ウェインが好きだったのだろうし、このころの日本の西部劇ファンもジョン・ウェインが好きだったんだろうなぁ。私が映画をよく観るようになったころは、ジョン・ウェインといえばタカ派のデブのおっさんという感じでベトナム戦争を支持した『グリーン・ベレー』なんていう映画を自ら監督・主演した人というイメージ。私などはどうしても好きになれない人でしかないのだけれど。

 それで、この映画でもジョン・ウェインはいい人。一方でヘンリー・フォンダは規律にうるさい上司。いままでインディアンとは平和的に交渉を続けていたジョン・ウェインを無視して、力でインディアンを制圧しようとする。挙句の果てに隊を率いて無謀な作戦(というか、これ、ノープランで突っ込んで行っただけだろ)で全滅。一応、記者の前では立派に戦って死にましたということになるのだが、これじゃあ無駄死にした騎兵隊の連中は浮かばれないでしょ。これは無茶だからと拒否したジョン・ウェインに「軍法会議にかける」とまで言い放った上司。英雄に祭り上げちゃあダメでしょ。それこそA級戦犯じゃん。

 ヒロインにシャーリー・テンプル。あのテンプルちゃんの大きくなってからの姿が拝めた。さすがにきれいな人だけど、子役時代はどうあれ、まあ、フツーの美人って感じですかね。それ以上、女性としての魅力は感じないし、女優としてどう?

10月6日記

静かなお喋り 10月5日

静かなお喋り

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