ガメラ 大怪獣空中決戦 2014年8月15日 NHK−BS2放映録画 今年のハリウッド版『ゴジラ』が、この映画に似ていると言われて、久し振りに観直してみる気になった。公開当時に一度観ているが、もうほとんど忘れてしまっていた。1995年作品。1995年といえば、阪神淡路大震災の年であり、地下鉄サリン事件のあった年。いったい日本はどうなってしまうんだろうという漠然とした不安感に襲われていた時でもあり、その空気の中で観ただけに、なんだかやたら怖かった印象がある。もっとも今も、3.11の影響がいまだに続いているし、中国や韓国との関係、政治の右傾化など、なにやら嫌な雰囲気が漂っているから、同じようなものなのだが。 今年のハリウツド版『ゴジラ』は、ゴジラとムートーなる翼竜怪獣との闘い。『ガメラ 大怪獣空中決戦』も、ガメラとギャオスとの闘いだった。相手が複数羽いるのも同じ。ガメラは人間の味方でギャオスを倒すために現れる。これも『ゴジラ』と同じ。ガメラは亀の怪獣というよりは亀の形をした御神体というような解釈。空を飛ぶ。それで空中戦になるわけだが、これも成功している。大地の上での闘いだけだと、多くの怪獣映画のように、プロレスになってしまう危険がこれで避けられた。 ガメラ登場のシーンは、プルトニウムを輸送している日本のタンカーの下をガメラが通過するところ。船の中ではプルトニウムがいかに危険なものかという会話がなされている。原発で出た使用済み核燃料の処理の困難さなど、しっかりここで述べられていたのに感心する。『ゴジラ』の方は、その後に日本で起こった原発事故のことをふまえてつくられているのだが。 金がかかってないのは確か。特撮もハリウッド版『ゴジラ』に比べると、笑っちゃうほどちゃち。20年前の映画だということを割り引いても、見劣りがしてしまう。それでも金がかかってないのにアイデアで見せてしまうのはたいしたもの。自衛隊がギャオスを狙って撃った誘導ミサイルをギャオスが躱し、ミサイルが東京タワーに当たってしまうというシーンは衝撃的。しかもぽっきりと折れた展望台の上にとまるギャオスが夕日に照らされているシーンは一枚の絵として芸術のよう。こういうところはハリウッド『ゴジラ』にはみられない繊細さを感じる。 何より怖いのは、ギャオスが人間を食糧として認識している点。それまでの怪獣映画は、ターゲットをあくまで子供にして作られていたものだから、こういうシーンはあり得なかった。その辺が大人にも受けたんだろうな。 ガメラは人間の味方だと主張する声に耳をかさないで、自衛隊はガメラを攻撃する。そしてギャオスがどうしても人間の力では倒せないとなると、「これはガメラに頼るしかないな」と言いだすお偉いさん。それに対して「身勝手すぎます」と叫ぶ。こういうところもいいんだなぁ。 8月16日記 静かなお喋り 8月15日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |