風雲電影院

ゴーン・ガール(Gone Girl)

2014年12月18日
109シネマズ木場

 何か書こうとすると、思いっきりネタばれになってしまう。何も予備知識無しで観た方がいい映画。

 「天は二物を与えず」なんて言ったりするが、世の中には成績優秀にしてスポーツマン、容姿端麗、性格も良くてクラス中の人気者なんていう人は存在する。私などは、小学生だった頃から、勉強の成績は良くないし、運動も苦手、ちょっと太っちょ体型、友達づきあいも下手な方だったから、劣等感ばかり抱き続けていた。その一方で若大将シリーズの加山雄三に憧れていたりして。

 エイミーという女性は、実際はそれほど学力優秀にしてアスリート、明るい性格でみんなの人気者というわけでもないのだが、母親が彼女をモデルにして“完璧なエミリー”の小説を書いてベストセラーにしたものだから、世間の人は実際のエミリーを小説のエミリーと同じ人物だと思い込んでしまっている。こういう母親のやったことにエイミーは苦しめられたのかもしれない。

 映画はエイミー(ロザムンド・パイク)が失踪したところから始まる。最初のうちは夫のニックに同情が集まるが、世論はそのうちに夫の態度に批判を集中させていく。夫に問題があってエイミーは疾走したんじゃないか。何といっても、あのすべてにおいてパーフェクトなエイミーというイメージが世の中の人たちに浸透してしまっている。否はニックにあるというムードが高まって行ってしまうのだ。確かにニックは浮気相手がいたり、失業していたりして問題のある夫なのだが、エイミーだって実は“完璧なエイミー”ではさらさらなくて、とんでもなく嫌な奴なんだね。夫が自分を殺したと見せかけて姿をくらまし、夫が死刑にでもなったら、のこのこと出てこようという作戦。

 しかし話は、だんだん妙なことになって行ってしまう。若い頃エイミーのストーカーのよえなことをしていて現在は大金持ちの男が関わって来たことによって、また大きな変化が起こってしまう。

 とにかく最後まで、嫌な奴ばかりが出てくる。エイミーのおかあさんが物の初めで、エイミー、ニック、大金持ちの元彼、そうかと思うとニュースキャスターの女、そしてテレビに煽られてしまう一般人。もう、げんなりしてきてしまうのだけど、一番悪いのは・・・やっぱりエイミーなのかな。完璧でない人間が完璧であることを強要されることの悲劇でもあるのだけど。

 ラストはゾ〜とする。これ観ると、結婚前の男性は結婚に躊躇してしまうんじゃないかと思うくらい。

12月19日記

静かなお喋り 12月18日

静かなお喋り

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