ゼロ・グラビティ(Gravity) 2014年1月3日 109シネマズ木場 例えば『エイリアン』なんかは、宇宙空間に化け物のような生物がいて、その襲撃をかわしながら脱出する話。絶対的な悪者がいる。ところが『ゼロ・グラビティ』となると、そういう敵役がいない。しいて言えば人類が残した宇宙のゴミってことになるわけだけれど、それって人類の自業自得みたいなもの。この映画で襲い掛かってくるのは宇宙という、それそのもの。サンドラ・ブロック演じるヒロインは「宇宙なんて嫌いだ」と毒づく。 『エイリアン』のシガニー・ウィーバーは、宇宙生物の襲撃から逃げ出して宇宙船に乗ると、そのまま静かに地球に帰っていく。『ゼロ・グラビティ』のサンドラ・ブロックの場合は、その帰還をまるで宇宙が阻もうとするかのよう。これを観ちゃうと、宇宙って怖いと思う。絶対に軽々しく宇宙飛行士になりたいなんて言えなくなる。 何をやらせても無表情みたいなサンドラ・ブロックが、今回すごくいい。この人、この映画に出るためにいままでいたんじゃないかと思うくらい。パニックになりながらも、何事にも顔がどこか冷静っていうのが、この映画のヒロインにぴったりなんだから、製作者もうまいキャスティングをしたと思う。そろそろ50代に入ろうという人だけど体もシェイプアップされている。それでいて、あまりグラマーじゃないところも、このヒロインに向いているし。 もうひとりの出演者がジョージ・クルーニー。ほとんど出演場面は無いから、高い出演料払って使い捨てのようなものだけど、彼を使ったのも正解。このワンポイントみたいなシーンでいい仕事をしている。 なんといってもこの映画の主役は宇宙空間なのだが、それに負けない演技が出来たのは、このふたりの功績。サンドラ・ブロックには今回はラジー賞ではなくアカデミー賞をあげたいよ、間違いなく。 私は3Dが苦手なので2Dで観たが、今回くらい悔しい思いをしたことは無い。これは観るなら3Dでしょ。DVDじゃだめ。必ず映画館で、しかも上映設備のできるだけいところで。これはもう映画というよりも宇宙を体感するイベントみたいなものだから。 1月4日記 静かなお喋り 1月3日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |