風雲電影院


非行少女ヨーコ

2014年8月22日
新文芸坐

 石橋蓮司特集での上映。この日は『江戸川乱歩猟奇舘 屋根裏の散歩者』との二本立て。1966年東映作品。降旗康男の監督デビュー作でもある。

 主演は緑魔子。当時、東映のエロチック路線の映画によく出ていて、思春期を迎えようとしていた私にとって、緑魔子はセックスシンボル的存在だった。東映の上映館の前を通ると、緑魔子が出ている映画のポスターが貼られていて、チラッ、チラッと、いけないものを見るようにして通り過ぎていた。映画は東宝の健全路線以外、子供は入ってはいけないというような雰囲気だった。ラジオの深夜放送も、まだパーソナリティーが若者向けに喋るような形が確立されていなかった時代があって、真夜中に緑魔子がセクシーなモノローグ・ドラマを演るコーナーがあったのを憶えている。今から考えると、たわいないといえばたわいない内容だったと思うが、小学校から中学に上がる時期にいた、多少色気づいていた私は、このコーナーを楽しみにして、夜遅くまでラジオにかじりついていたものだった。

 さて、『非行少女ヨーコ』。なぜこれが石橋蓮司特集の一本かというというと、石橋蓮司が緑魔子と結婚したからということなんだろう。この映画の石橋蓮司の登場場面は少ない。しかもなぜかオカマ役。決して代表作というわけではない。

 公開当時は、おそらくショッキングな題材だったのかも知れないが、今観ると、「なんだこりゃ」って思えてくる。田舎でちょっとグレていて、挙句の果てにレイプされて、近所で噂されて、たまらなくなって家出。東京へ出て来るものの、仕事だって長続きしない。いろんな男に言い寄られたりして、お決まりの展開のようにクスリに手をを出す。このクスリっていうのが睡眠薬ってとこが当時を思わせますなぁ。ドラッグではなくて睡眠薬。マリファナでもヘロインでも覚醒剤でもなく、もちろん脱法ハーブでもなく睡眠薬。その金欲しさに売春。

 のちの東映のスケバンものでもなくて、暴力沙汰ってのにもあまり繋がっていかない。やがてちょっと奥手の男の子、谷隼人と仲良くなって心機一転。睡眠薬をやめる決心をして、ふたりで憧れのヨーロッパに向けて貨物船に乗って旅立っていくのでありました。港には、東京での非行仲間や、なぜか父親や母親まで見送りに来ている。なんか暗かった映画がここでいきなり明るい未来を暗示して終わるのだが、いい気なもんだよなぁという印象しか残らない。どう考えたって、外国語も碌にわからないふたりが映画で観ただけのヨーロッパに行ったところで、うまくやっていかれる要素は皆無。能天気に貨物船のデッキでイチャイチャしているふたり。勝手にしろー! といいたいところだけど、今の日本でニートになってる若者よりはマシかなと思えては来るのだけど・・・。

8月23日記

静かなお喋り 8月22日

静かなお喋り

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