地獄でなぜ悪い 2014年2月28日 キネカ大森 園子温監督の映画を初めて観たのは『冷たい熱帯魚』で、これには少なからずショックを受けた。ただラストが余計なような気がしたものの「ほかの作品も観たい!」と思ってしまったことは確か。それで三年前の入院の前日には、公開中だった『恋の罪』を観に行ったくらいだ。この『恋の罪』は残念ながら私にはピンと来ず、『冷たい熱帯魚』だけ特別な映画だったような気がして、それ以降は熱が冷めてしまっていた。 それでも気になっていたのが『愛のむきだし』。やけに評判がよかったし、上映時間237分という異様さに興味を感じて、これは今年になって名画座で上映されているのを見つけて観に行った。でもこれも私には「?」な映画だった。おそらく園子温監督の映画というのは、かなり観客を選ぶのかもしれない。 その後も園子温監督は精力的に映画を撮っている。この『地獄でなぜ悪い』は去年の作品。ヤクザの殴り込みの様子を、そのまま映画に撮ってしまおうというストーリーだと聞かされた時から、「う〜ん」となってしまって、結局観に行かなかった。キネカ大森で『恋の渦』と二本立て上映ということでもなかったら観なかったかも知れない。 普通に考えたら、無理があるストーリーでしょ。クライマックスの殴り込みシーン撮影のためのシチュエーションに上手く持っていくために、いろいろ工夫がほどこしてあって、それはそれでよくできているとは思うのだけど、一方で「何なの、これ」と思うところもあって、やはり私は付いていけなかった。殴り込みシーンに、ヤクザの抗争とは無関係なブルース・リーかぶれの役者志望を混じり込ませたり、これって何なの? いや、そういう映画なんだろうけど、だめだ、これは。私は付いていけない。 タイトルに『仁義なき戦い』のテーマが流れたり、ブルース・リーの『怒りの鉄拳』みたいな展開になったりと、こういうのをオマージュというなら、そう感じる人にはそうなんだろうけど、「なんだかなぁ」と思ってしまう。 堤真一が、またここでも着流しヤクザ役をやってる。前日に観た『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』でも同じような役回りのおふざけ。ああ、『今ひとたびの修羅』の堤真一のイメージが。 こういう映画が好きな人もたくさんいそうだし、まったく否定はしないけれど、どーも私にはピンと来なかったとしか書きようがないんだなぁ。 3月1日記 静かなお喋り 2月28日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |