風雲電影院

ジョニー・トー 香港ノワールに生きて(Johnnie To Johnnie Got His Gun!)

2013年2月20日
新宿 K’s cinema

 香港の映画監督ジョニー・トーを取材した一時間程度のドキュメンタリー。
 まず映し出されるのは『ブレイキング・ニュース』撮影中の風景。ビルの狭い廊下を使った撮影。緊迫感が漂う現場風景だ。『ブレイキング・ニュース』いえば、なんといってもあの冒頭の7〜8分に渡るクレーンを使った長回し。あの長回しはいかになんでも無理だろうと思ったから、あとからの画像処理でワンカットに見せているのかもしれないと思ったが、やっぱりワンカットだったんだ。最後のロケットランチャーの部分だけ、あとからCG処理をしたそうではあるが。

 あのシーンでもわかるが、ジョニー・トーは変なカット割りをしない。最近の映画はアクションシーンをアップばかりの細かいカットで繋いでしまうものが多いが、あれは目が疲れるだけでなく、何が起こっているのかさえもよくわからない。動ける役者がいないのかもしれないが、監督のセンスが悪いとしか思えない。

 『エグザイル/絆』のラスト。あのホテルがセットだとは驚いた。しかもあのセット、ビルの屋上に組んだとは意外。
 あの銃撃戦のシーンのジョニー・トーの解説が面白い。あのシーンの男たちは無駄に弾を撃ったりしない。拳銃を向けた先には必ず敵がいて、相手を狙って撃つ。昔の武士のように。
 これなんだよなぁ。だからこのシーン、高速度撮影、いわゆるスローモーションが多用されている。まるでサム・ペキンパーのよう。昔の映画はカット割りに頼らず、わかりやすくて、迫力があった。

 インタビュー・シーンで、ジョニー・トーは十代の初めごろ『荒野の用心棒』を観て感動したと言う。私も同じ。マカロニウエスタンを悪く言う人もいるけれど、あんなにスタイリッシュな撮り方は、当時アメリカには無かったはずだ。そのアメリカ映画についてもネジョニー・トーは60年代や70年代は面白いものがあったが、90年代になると語るのも嫌になると言う。なんだかわかるなあ。このドキュメンタリーにも出てくる『PTU』の光の使い方なんかを観ると、どちらかというとアメリカ映画というよりヨーロッパ映画に近い。いやいや、そんなものも超越していて、これはまぎれもなくジョニー・トー映画なんだと思う。

 観終って、猛烈に今までのジョニー・トーの作品を全部観直したくなってしまった。

2月21日記

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