帰らざる河(River Of No Return) 2012年7月9日、三日月座BaseKOMシネマ倶楽部にて。 1954年作品。 マリリン・モンローの映画をスクリーンで観たのは初めて。これまでマリリン・モンローの映画は、テレビ放映でしか観た事がない。それも日本語吹き替えがほとんど。 マリリン・モンローが死んだのは1962年。私はまだ小学生だった。だからマリリン・モンローに対する思い入れは、あまり無い。マリリン・モンローに思い入れのある人たちは、私よりもっと上の世代。 だからということもあるが、マリリン・モンローの映画を初めてテレビで観たのは、おそらく高校生になったあたり。最初に観たのは何だったかも憶えていない。そのころにはこっちも思春期。マリリン・モンローではなく、スクリーンに次々に登場する女優さんたちに夢中になっていた。アメリカのヘイズコードも無くなり、結構性表現もオープンになっていたから、マリリン・モンローに騒いでいる上の世代のことが理解できなかった。 『帰らざる河』も学生時代にテレビで観た。マリリン・モンローはきれいだなと思ったが、それほどいいとは思えなかった。 なぜか、金髪美人イコール馬鹿という方程式があって、この映画でも、少年がマリリン・モンローにそういう事を言うシーンがある。これも今や死語というか、そんな事を言うのは古びたジョークだけになってしまった。マリリン・モンローは百も承知、そんな事を逆手に取って、ちっょと蓮っ葉な女を演じていたんだろう。 この『帰らざる河』のマリリン・モンローも、そんな酒場の女を演じている。そういえば、マリリン・モンローは才気活発な頭がいいキャリア・ウーマンって役は無かったような気がする。 今から観ると、やっぱり古さを感じる映画だ。インディアンの扱いなど、ただ意味もなく襲ってくる野蛮な集団としか描かれていない。今だったら先住民族に対する扱いにもっと慎重になっているはず。 まあ、先住民族に対する扱いとか、女性に対する扱いとか、古いっちゃ古いが、よき時代のハリウッド映画なんだな。 すっかり忘れていたが、クライマックスで子供が意外な事をする。「えっ!」と思ってしまったが、これも今だったら問題視されていたかもしれない。ヘイズコードはあっても、こういうことは許されたのがアメリカなんだなと改めて思う。 上映時間91分。コンパクトにまとめられた一編。ロバート・ミッチャムの過去も、マリリン・モンローの過去も、あまり詳しく語られず、スッと物語に入り、サッと粋なエンディングになる。 筏の川下りなどスペクタクルも盛り込んだ、当時としては大作なんだろうけど、コンパクトに作られたこの映画。今だったらダラダラと長い映画になっててしまったろう。 そういう意味でも、古き良きハリウッド映画なのかもしれない。 7月10日記 静かなお喋り 7月9日 このコーナーの表紙に戻る |