風雲電影院

カエル少年失踪殺人事件

2013年7月2日
WOWOW放映録画

 韓国映画。冒頭、これは実際にあった事件だとの字幕が出た。タイトルだけで録画したからコメディのようなものを想像してしまった。迂闊だった。それでも冒頭の5人の少年が走っているシーンは、なかなかいい滑り出しで、タイトルもこんなんではなく、そんな字幕も出なければ、これはひょっとして『スタンド・バイ・ミー』みたいな話にでもなるのかと思わせるようなものがある。

 それでこの5人の少年たちは、集団で姿を消してしまって大騒ぎになる。誘拐かとも思われるが、犯人から電話もかかって来ない。きっとどこかで子供たちは生きているに違いという家族の願いも、いつまでたっても手掛かりすらなく、時間ばかり過ぎる。
 やがて、学者やらマスコミやらが、これはこの家族たちが殺して、家の下に埋めたに違いないと騒ぎだす。家族たちの住む敷地の下を掘り返したりするが、何も出てこない。
 そして、これからまた何年か後に山の中で少年たちの白骨死体が見つかる。

 おそらくこのあたりまでがノンフィクションなのだろうが、果たしてどこまで忠実に映画化したのか疑問。警察もこれではあまりに無能な感じだし、学者が出てきたあたりから過剰とも思える演出が増えてくる。学者主導でマスコミまで呼んで敷地内を掘り返すなんて事が、本当に韓国で行われているのだろうか? 学者に左手の指2本を右手で切るジェスチャーをしてみせた老婆は何だ? 単なる認知症だったのだろうか? こういう思わせぶりなシーンって、実際に本当にあった事なのだろうか? フィクションならば、せっかく作った伏線を回収しないで終わってしまった事になるのだろうし、実際にそんな老婆がいたのなら、思わせぶりな見せ方ではなくて、きちんと説明してからにして欲しかったところ。どうも映画として面白く見せようという姿勢ばかりが際立って行ってしまう。

 後半はおそらくフィクションだろう。映画はなぜか単独犯として描いている。犯人はお菓子で子供たちを誘い、首を絞めて殺す。その動機はついに描かれない。

 この犯人像は、最近の韓国映画お得意のガツンと来る、凄まじい犯人なのだが、やりすぎじゃないのか? いかにこういうのが受けるからといって、実際にあった事件を基にして、こういう極端な犯人像を持ってくるというのはどんなものか。遺族たちはどういう思いでこの映画を観たのだろう。なんとなく後味が悪い。

7月4日記

静かなお喋り 7月2日

静かなお喋り

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