風雲電影院

カラテ・キル(Karate Kill)

2016年9月14日
シネ・リーブル池袋

 これはもう、カンフー映画でもなければ、マーシャルアーツ映画でもない。40年前に東映が千葉真一主演で量産したカラテ映画を彷彿とさせる映画の登場だ。
 低予算、B級感丸出しという感じだが、これよこれ。カラテ映画はこうでなくちゃ。それでも監督がロス在住の日本人だそうで、ほとんどがアメリカロケ。と言っても、野外シーンのほとんどは、どこかの空地を使って撮ってるだけなんだけど。

 ストーリーはというと、小さいころに両親を亡くした兄妹がいて、兄は、女優を目指してアメリカに渡った妹のためにアルバイトを四つも掛け持ちして働く青年。その妹が突然失踪してしまう。そこでカラテの達人であるオニイチャンは単身アメリカに渡って妹を捜すことになる(どっかで観たことのあるストーリーだなぁ)。妹の住んでいたアパートに行ってみれば、「なんだてめえは」と最初から喧嘩腰の日本人の男。すぐさま挌闘になってしまう。相手をポコポコにして、「妹はどこだ!?」と締め上げると、妹はリトルトーキョーのキャバクラで働いていたとゲロする(オニイチャンが日本であれだけ働いていて、まだお金が足りなかったの?)。そんでキャバクラに乗り込んでみれば、またもや怖いおアニぃさんたちがお出迎え。こいつらもボコボコにして、何があったんだと問い詰めると、スナッフフィルムを作っているカルト教団に拉致されたと言う。そんでオニイチャンは、妹を救出するべく、ヒッチハイクで(!)、カルト教団のアジトへ乗り込んでいく。

 とにかくアタマ使わなくてもいい、バカでもわかる単純なストーリー。「オレはオタマわりーしぃ、難しいことわかんねぇーけど、わりー奴ぼこぼこにして、きれーなネエチャンのおっぱいが見られりゃ、それで文句ねぇーし」という脳みそ筋肉な人でも大丈夫。それになにしろ出てくる奴らが、これまたバカばっかし。カルト教団の教祖なんていうのも、もう見るからにバカ。どうしてこんなのに信者が集まるの?

 まあ、そんなことはさておき、空手アクションがたっぷり見られたのはうれしかった。トレイラーの荷台でなかで、日本刀を持った剣術の達人と戦うシーンは迫力があった。映画の序盤で木刀を持った相手と戦うシーンが伏線になっていて、どうしたら日本刀に素手で勝てるかというアイデアが素晴らしい。

 それともうひとつのテーマが、拳銃を持った相手をどうやって素手で倒すか。これがまた、一応納得のいく解決策を用意している。でもこれって、大リーグボール一号並の猛特訓が必要そうだなぁ。

 アメリカロケなのに、出てくる役者は、ほとんど日本人。カルト教徒はみんな覆面をしていて、なんだか変身ヒーローものの、うぞうもぞうどもみたい。あれもみんな日本人なんだろうなぁ。

 なにしろ主人公の行くところ、死体の山。登場人物のほとんどが死んでしまう。ラストシーンで、ようやくパトカーが駆けつけるけれど、これ、オニイチャンもタダては済みそうにないのだけど・・・。

9月15日記

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