カトマンズの男(les Tribulation d'un Chinois en Chine) 2014年6月23日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 1965年、フランス映画。今回、初めて観た。いままで、私の苦手な類の映画なので、観ていなかったというのが本音。まず、ジャン=ポール・ベルモンドが苦手。フランスの俳優というと、男優なら、真っ先にいい役者だと思うのがリノ・ヴァンチェラ。もうこの人はダントツ。それに続くのがアラン・ドロン。ほかにもジャン・ギャバンとかもいるが、どうもピンとこない。ジャン=ポール・ベルモンドに至っては、もう彼がスクリーンに写っているだけで、ひたすらうっとうしいと感じてしまう。 それとフランスの喜劇というのが、またピンと来ない。あまり面白いと感じないのだ。ちょうどこのころ、ファントマ・シリーズで人気のあったルイ・ド・フェネスなんかがいい例で、私はまったく笑えなかった。笑いは何と行ってもアメリカ。それに次ぐのが日本だし思っていて、フランスの笑いは、どうにも肌が合わなかった。『カトマンズの男』も笑いの要素はふんだんにあるのだが、正直なところ、あまり笑えなかった。これは私だけなのかもしれないが。 原作はジュール・ウェルヌの『必死の逃亡者』だそうだが、あまり原作に忠実というわけではないらしい。監督はフィリップ・ド・ブロカ。やはりジャン=ポール・ベルモンドで撮った『リオの男』がヒットしたので、柳の下の泥鰌でもう一本ということだったのだろう。邦題も『リオの男』のヒットを受けて、無理矢理に『カトマンズの男』。でも、カトマンズは出て来るけれど、ほとんど寄り道みたいなもの。舞台はほとんど香港だ。1960年代中ごろの香港の風景が観られるのはうれしかったが、もう少し街の様子を観たかったなという程度。カトマンズに行くシーンがあるのも、観光映画として作ってあるからだろう。香港だけだと、やはり弱い。雄大な大自然の映像が欲しくて無理矢理に脚本に押し込んだという印象だ。 しかし観光映画として、もっといろいろ欲しかったらしくて、最後は、どうやら香港を脱出してマレーシアあたりの島という設定らしい。象がいるぞ。香港からマレーシアっつったら、かなり距離がある。どうやって移動したんだ? しかもそれをセスナ機が追っかけてくる。ひょっとして香港からセスナ機で追っかけてきたのかあ? いいのね、別にヨーロッパ人には、そんなこと関心がないんだろう。 でもねぇ〜、なんでそのセスナ機にドアが無いんだ? 危なくってしょーがないだろ! というツッコミも、するだけ虚しい気がしてくるし・・・。 このあと、ブロカは、あの名作と言われる『まぼろしの市街戦』を撮るわけだが、どうなんだろう。あれ、当時、私も映画館で二回ほど観ていて、「傑作だ」と言っていた記憶があるが、あれ、映画青年だった時代のことで、今観直してみると、はたして同じ感想を感じるものかどうか自信無くなっってきてしまったなぁ。 6月24日記 静かなお喋り 6月23日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |