風雲電影院

きっとここが帰る場所(This Must Be The Place)

2012年7月3日ヒューマントラストシネマ有楽町にて。

 トーキング・ヘッズの同名の曲をタイトルにした映画。デイヴィッド・バーンも出演して歌っている。それだけの理由で観に行った。

 デイヴィッド・バーンの演奏シーンでは、キーボード、ベース、ドラムス、弦楽器三人、コーラスという編成のバンドで、この曲が歌われる。トーキング・ヘッズのときのようなロック・バンド・スタイルではないが、「ああ、いかにもデイヴィッド・バーンのその後のスタイルだな」という演奏。しばらく映像で観ていなかったが、彼も歳取ったなあという感想は、自分に跳ね返ってくるのだが。

 この映画も、老いを扱っている。ショーン・ペンが、歳を取って引退したロック・ミュージシャンを演じている。もう楽器も弾かなくなってしまったが、実生活でもロングヘアーで、メイクをしている。それがどうも痛々しく見えてしまう。喋り方がまた気だるそうにボソボソと喋るので、余計に痛々しい。現役時代にクスリでもやっていて、その後遺症という設定なのかねえ。

 父親が危篤と知って行ってみると、もう死んだあと。父の残した日記から、父が追っていたナチの戦犯を探すロードムービーがここから始まる。

 私も二年前に父を亡くし、自分自身も年老いた側になっているので、このショーン・ペン演じるシャイアンという主人公の気持ちはわかる。私の場合はシャイアンのように、父と疎遠になっていたわけでもないし、最後まで一緒に生活していたわけだが、父が死んでみると、「もっと父のために、いろいろしてあげればよかったなあ」と思えてくる。

 これもクスリの後遺症か、不摂生な生活のツケか、引退して運動不足なのか、ヨタヨタしながら歩くシャイアンの様子は辛い。健康的な老後生活をしなければと、身につまされる。

 途中、ハリー・ディーン・スタントンと出会うシーンがある。ええっ! 生きてたんだ! 失礼。最後に観た映画は何だろう? 『グリーン・マイル』に出ていたのは憶えている。調べてみたら1926年生まれ。現在85歳。あまり歳を取ったと感じさせない姿がそこにある。もっとも昔っから年齢不詳な感じのする役者だったが。
 ハリー・ディーン・スタントンは、キャスター付バックを発明して特許を取って大儲けしたという人物を演じていて、相変わらず、いい味を出している。

 そういえば、シャイアンも株で儲けていて、悠々自適な引退生活をしているし、お金に困らない老後を過ごしているっていうのはいいやね。

 そして映画の最後にシャイアンは、ナチの戦犯を捜し当てる。雪に囲まれたトレーラー・ハウスにいたのは・・・そう、もう貧相な身体をした老人・・・。

 観終わって、シャイアンがこの先、健康的な老後生活が送れますようにと願わずにいられなくなった。

7月4日記

静かなお喋り 7月3日

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