風雲電影院

恋の渦

2014年2月28日
キネカ大森

 去年公開されて、どうやら口コミで広がったらしくて連日大入りだったらしい。観に行こうと思っていながら忘れていて、ついに名画座。

 三浦大輔及びポツドールの芝居は、2006年の『夢の城』からすべて観ている。『夢の城』が3月で、この『恋の渦』は同じ年の11月から12月にかけて。どちらも新宿のTheater/Tops。あの狭い空間で息を殺すようにして夢中で観た。

 あれから8年近く経っている。『恋の渦』のストーリーは、だいぶ忘れていたが、映画版を観ているうちに大分思い出していった。フリーターやシッョプ店員ばかりの若い9人の今時の男女が、今時の言葉を使って今時の恋愛をする話。もう誰一人として、感情移入できない、しょーもない奴らしか出てこない。それがやけに面白いのだから、不思議な脚本。映画化に際しても三浦大輔自身が脚本を書いている。監督はテレビ畑の大根仁。

 超低予算映画。全てロケ。ロケ現場は4つの狭い安アーパート。芝居版でも舞台を四つに区切って、各部屋にしていた。舞台版が映画版と違うのは、同時進行で各部屋で起こっていることに動きがあること。セリフが被ったりシンクロしたりもしていた。その点、映画版ではそれができず、カットの切り替えだったから、ちょっと不自由だったかも。やろうと思えばシーンによってマルチ画面を使うことも可能だったろうが、あくまで低予算にこだわったのだろう。

 芝居版に比べてよかった点は、やはり役者に寄った画が撮れたところで、アップがあると面白い画になるところがあった。

 とにかく話としてよく出来ていると思う。ひょっとすると台本として私が一番好きな三浦大輔の作品は『恋の渦』かもしれない。登場人物それぞれの思いが、台詞に出ないところもあって、またみーんなそれぞれが隠し事があったりして、その嘘が観客側にバレた瞬間に、「あ〜あ、そうだったのか」とニヤリとする。

 ラストの台詞も芝居版どおり。芝居の時は例によってカーテンコールなしの拍手なしだったが、映画版は同じ台詞だというのに、笑いが込み上げてきて、明るくエンドロール。

 映画的な面白さはさておき、とにかく面白いから観て欲しいという一作。

3月1日記

静かなお喋り 2月28日

静かなお喋り

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