風雲電影院

唇からナイフ(Modesty Blaise)

2015年4月27日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 1966年、イギリス映画。これが公開された当時はスパイ映画ブームの真っ只中。おそらくそれを当て込んで作られたのであろう女スパイもの。主演のモニカ・ヴィッティのスチール写真を映画雑誌で見て、そのセクシーさにドキドキし、しかもなんともいえないこの邦題に胸躍らせ、「観たいなぁ」と思いながらも、ついに観そびれてしまっていた一本。50年近く前の思春期だったころの私を思い出すと恥ずかしくなりますな。

 で、ようやく50年近くの年月が経ってから観ることができた『唇からナイフ』だが、これがもうヘンテコな映画で、気の抜けたサイダーというのか、実にゆる〜い、「なんじゃこりゃ」というシロモノでした。新聞連載漫画の映画化らしいのだが、これ、ストーリーが完全にわかった人います? もう実にダラダラした映画で、途中でストーリーを追うことを放棄してしまいましたよ、あたしゃ。

 モニカ・ヴィッティを、うっとりと眺めている分にはそれでいいたような映画ではあるのだけれど、あのころ思春期だった私ならばともかく、今の目から見るともう彼女のセクシーさなんて、どうってことないんですな。やたら脚を強調させるショットがあったりするけれど、もう今やなんとも思わない。あ〜あ。

 一応、アクション・コメディとでもいうような映画なんだろうけれど、アクションシーンは最後のシーク族が上陸してくるところにわずかに面白さがある程度で、あとは目を覆うくらいひどい。とにかくモニカ・ヴィッティは動けないから、格闘シーンなんて、彼女がちょっと足で突いただけで相手が倒れて気を失ってくれる。なんだか笑ってしまうのだが、今度はコメディの部分が意味不明のギャグ(らしい)がときどき入るのだが、こっちは全然笑えない。

 話はどうやらモニカ・ヴィッティ扮するモディスティ(原題のとおり)とウィリー(テレンス・スタンプ)がタイヤを狙った強盗団と闘う話なのだが、とにかくダラダラしていて、まったく起伏というものが無い。ヒロインが危機に陥るなんていうシーンもないわけじゃないが、さっぽりハラハラドキドキ感が無い。

 最後はこの強盗団のボスのアジトである島の要塞(というか古い城のような豪邸)に乗り込んでのアクション。ボスは世界征服をするんだという野望があるようなのだが、手下がほとんどいない。なんで?なんで? 牢から脱出(気落ちするくらいあっさり抜け出せる)して、ボスたちに追われるのだが、追手も少ないし、どう見ても絶体絶命の状況に見えない。そこに助けに来るシーク族のゴムボート軍団。全員が手に刀を持っている大軍団で、見るからに強そう。相手は銃を持っているとはいえ少人数で、しかも重火器ではなくてピストル。こりゃシーク族の方が圧倒的に優勢に見えてしまう。

 なんだかもう、ツッコミを入れるのも疲れるという虚脱感。これがほぼ二時間続く。拷問だぁ! 映画の中の強盗団に捕まって牢に入れられるより辛い。そういえば、あの牢屋のセット、何? へんな牢屋だったなあ。まっ、あの時代の珍品といった一本ですね。

4月28日記

静かなお喋り 4月27日

静かなお喋り

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