風雲電影院

LIFE!(The Secret Life of Walter Mitty)

2014年4月7日
109シネマズ木場

 ジェームス・サーバーの短編小説の映画化『虹を掴む男』のリメイク。
 といっても、かなり自由に書き換えているようだ。

 映画とが小説というのは、空想して楽しむ世界。現実がどんなにショボくても、映画や小説の世界に入っている間は、自分を主人公に重ね合わせて、別の世界に行ける。空想力が逞しい人なら、映画や小説の力を借りなくても、自分で自分の世界にどっぷり浸かることができる。そこでは自分はスーパーマンであり、周りからモテモテの人物になれる。この映画の主人公ウォルターも、そういった人物。

 ウォルター(ベン・スティラー)は雑誌社の写真ネガ管理係。雑誌の終刊号の表紙を飾る写真を、専属のカメラマン(ショーン・ペン)から受け取ったはずが、そのネガが見当たらなくなってしまう。この写真家、常に世界中を飛び回っているだけでなく、携帯電話も持たない主義。かくして、ウォルターは、この写真家を捜して、世界中を追いかけることになる。

 この映画が不思議なのは、どこからが現実にあったことで、どこまでがウォルターの夢の世界なのか判然としないところ。グリーンランド、アイスランド、アフガニスタン。海に空に山に、ウォルターはまるで冒険のような旅をすることになる。こんなことってあり? 火山の大噴火に遭遇したりって、ほとんど現実とは思えない。

 そういった中でも、ウォルターはスケボーの名手だったりするのが、「これってやっぱり夢の中の世界じゃないの?」と思えてくる。

 しかも、今時まだデジタルではなくフィルムで撮影している写真家というのも変だし、あんなに忙しく世界中を飛び回っている写真家が、いつフィルムを現像したのかというのも謎だし、紙焼きがまったく存在しないというのもおかしいし、これって夢の中の作り物の世界の感じがしてくる。

 映画は、妙に居心地のいい結末を迎える。いいのかなぁと思うけれど、これがハリウッド映画なんでしょうねぇ。

4月8日記

静かなお喋り 4月7日

静かなお喋り

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