ゆうひが丘の総理大臣#39いったいこの教師はなんだ! 誇りの報酬#25あの美女は誰だ! 2013年2月11日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 シネマ倶楽部特別企画。主宰者の脚本家柏原寛司氏の書いたテレビドラマを16mmで上映し、担当プロデューサー中村良男氏からお話をうかがう。 どちらもプリントの状態が、すこぶるきれい。 テレビドラマのフィルムを試写室で観たのは、学生時代にひょんなことで映画の世界に、ちょっとだけ頭を突っ込んだ事があって以来。結局私は別の道に行ってしまったのだが、なんだか懐かしい。 『ゆうひが丘の総理大臣』は、『少年チャンピオン』連載の漫画のドラマ化。1978年から1979年に放送されたもので全40話。だからこの第39話は最終回の一話前ということになる。もう終わるから好きな事をやろうと作ったものらしい。 中村雅俊が英語教師をしている高校(原作漫画では中学)に、教育実習生がやってくる。教生が来ると言う書類を受け取っていながら、そのことを忘れていた小松政夫が当日になって大慌てで、教頭の宍戸錠に報告するというコメディリリーフがあって、横谷雄二の教生が現れる。 この教生がテレビの学園ドラマ被れの男で、熱血教師に憧れている。不真面目な生徒を捕まえては「青春とはなんだか答えてみろ!」なんて言って白けさせている。「勉強だけでなく、何か打ち込むものを持て。スポーツをやれ。スポーツはラグビーかサッカーだ。昔からそう決まっているんだ」なんて、同じ局の『青春とはなんだ』『これが青春だ』を茶化す台詞もある。 教生があまりにウザいので、不真面目学生ばかりでなく中村雅俊も持て余し気味。 熱血教師もののドラマをパロディにしてみせたあたり、どちらかというとアクションもの方が好きな柏原寛司らしい。 そこへいくと、『誇りの報酬』の方は柏原寛司の得意分野の刑事もの。1985年から1986年まで放映されたもので全49話。主演は中村雅俊と根津甚八。この前の24話で篠ひろ子の契約が切れて本人が降りてしまったので、代わりに誰か入れようという事で、伊藤蘭が加わった一作目。 偽札事件を追って中村雅俊が強盗団に潜入捜査に入る。一方でその強盗団を追っているのが伊藤蘭の女刑事。それでいて偽札偽造団の方を伊藤蘭が解決してしまうという、ひねった構成が面白い。 中村雅俊が伊藤蘭が刑事だと知って「女に向かない職業だね」と言うあたり、ミステリ小説好きの柏原寛司らしいが、はたして当時テレビを観ている人で、P・D・ジェイムスを知っている人がどれだけいたのやら(笑)。 上映後の中村良男プロデューサーの話がまた、当時のドラマ制作の現場をプロデューサーの視線から語っていて、興味深くかつ無類の面白さだった。しかし、はたしてインターネットにどこまで書いてしまっていいのか、オフレコの部分もありそうだから書けない。 ただこれだけは書いておきたいのは、テレビドラマ制作現場で、脚本家、監督、プロデューサーが一丸となって、面白いものを作ろうとしている様子が感じられたこと。うらやましい世界だなあと思う。まあ、実際には苦労は多いんだろうが。 2月12日記 静かなお喋り 2月11日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |