風雲電影院

もらとりあむタマ子

2014年12月22日
WOWOW放映録画

 AKB48にも前田敦子にもさっぱり興味がないのだが、去年公開されたときに「面白そうだなぁ」と思っていながら見逃してしまっていた。先日、WOWOWでの放映があったので録画して観た。

 大学を卒業しても就職せず、実家の甲府に戻ってきて、そのまま何もせずに居ついてしまうタマ子(前田敦子)の様子がひたすら描かれる。なにしろな〜んにもしないで家に寄生しているだけだし、友達関係も気まずくなって避けて通っているから、これといった事件は起こらない。でも、この事件が起こらないで淡々と日常が進んで行くっていうのが心地いいっていうか、タマ子がダラダラと生きている様子が映し出されるのを見ているのが楽しいというか、だらけた生活をしている若い女性の様子を見ているのが、なんとんなく可笑しいというか。以前だっら、こういうダメな人間見ているとイライラしたのだけど、最近はむしろ面白がっている自分がいる。まあ、こっちも何もしなくなってだらけた生活をしているから同類だって思うところもあるのかも。

 どうやら両親は離婚してしまっていて、父親との二人暮らし。尋常でないのは、ほんとにタマ子は何もしない。朝は遅くまで寝ているし、炊事、洗濯、掃除も父親任せ。またこの父親がどうやら料理好きで、何でも作れる。この映画、面白いのは、食事のシーンがやたらと出てくること。ほとんどは父親が作った料理をタマ子が黙々と食べるシーンなのだが、それがおいしそうに食べているわけでもないのに、妙にこっちも食べたくなってくる。カレーとかサンマの塩焼きとかロールキャベツとかどうってことないものばかりなんだけど、「おいしそう」と思ってしまう。テレビのグルメ・レポーターが大げさに感想を述べるのを見ているより、タマ子が食べているシーンの方が食べたくなるって、なぜ?

 父親は甲府でスポーツ用品店をやっている。体育用のジャージを大量に仕入れているシーンがあったりして、そういえば今年、山梨に行ったときに、電車に乗り合わせた高校生たちが、みんな学生服じゃなくてジャージ姿だったのを思い出してニヤリとしてみたり。

 その父親、何もしないで家でゴロゴロしているタマ子を本気で怒れない。父親として、ここでキッチリ言ってあげなければいけないんだろうけど、言えない。きっと娘がかわいいんだろうね。反抗的な態度を取っても、それで出て行ってしまうんじゃなくて、家に居ついてしまっているんだから、実の親としては、ほっとこうかという事になってしまう。

 この映画、秋から始まって一年後、夏で終わっている。最後の方、父親が人の紹介で再婚しようとする。この相手の女性が気になるタマ子。再婚させまいと、いろいろなことを言うのだが、その相手の女性に会いに行ってみると、素晴らしい人だったのでコロっと態度が変わり始める。自分の父親の悪口を女性に語り始めるが、それが褒め言葉になってしまっていたり。「スパゲティとか作るとパセリ乗せるんですよ。普通、(家庭料理で)パセリなんて乗せますか? あんな飾り。食べますけどね、もったいないから」は可笑しかった。この女性を演じるのが富田靖子。タマ子のお父さんでなくても惚れるよね(笑)。

 親離れ出来ない娘、そして子離れできない父親。本当に結婚を考えるようになったであろう父親が、夕食の席でタマ子に言う。「夏が終わったら家を出ていけ」。するとタマ子はひと言「合格」。この瞬間から、父も娘もお互いに依存した生活から踏み出すであろうことを予感させて、映画は終わる。えっ、これで終わり? なんと78分しかない映画だった。

12月23日記

静かなお喋り 12月22日

静かなお喋り

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