もっともあぶない刑事 2013年12月2日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 あぶデカって、テレビシリーズも映画版もまったく観た事が無かった。これは映画版の三本目。1989年の作品。映画版では一番評判がいい。脚本が三日月座の柏原寛司。監督が村川透。村川透は70年代に松田優作で遊戯シリーズを撮っていた人だから、あのハードボイルドでいて、どこかおちゃらけた作風がこの作品でも感じられる。 なにしろ長く続いていた人気シリーズだから、キャラクターの説明は無し。それでも冒頭、舘ひろしと柴田恭兵が夜の鉄道の線路を歩きながら会話を交わすシーンで、うまくこのバディの関係性の乗りを見せる。女とは午前0時に別れたよとか言う、ちょっとキザでハードボイルドな台詞がギャグのようになっている。この夜のシーンの照明の使い方がきれいだ。 続くシーンが、ふたりの殴り込みのようでいて、実は武器製造工場へのガサ入れ。のっけからアクション。首謀者を逃がしてしまうが、そこに張っていたのが仲村トオル。これがまたハードボイルド気取りの第三の刑事。「俺の横を通り過ぎた男はみんな死んでいったぜ」と臭い台詞を吐きながら、やはり取り逃がしてしまう。これで三人の立ち位置を説明してしまうのは見事。この台詞はまたあとでギャグとして発展させるのだが、そのへんの乗りも楽しい。 シリーズをまったく観ていない私でも、そのあとの上司の中条静夫や、所轄署の木の実ナナといったキャラは理解できる。ただ、浅野温子の登場の仕方はぶっとびすぎていて、「何? このキャラ」となってしまったが、このころからこんなキャラに変わってしまったそうだ。 現場から逃げた首謀者を見つけての自動車を使ってのガンアクション。『ターティ・ハリー』ばりで横転する車。ここで刈谷俊介の殺し屋の登場。サイレンサー付の銃で運転する首謀者の男を射殺する。自分はタイヤを狙って撃ったと主張し合う舘ひろしと柴田恭兵の押し付け合いがなんともとぼけていてユーモラス。 面白いアクション映画に不可欠なのがこの、とてつもなく強い敵役の存在。化け物かと思えるほどの生命力としつこさで、このあとも舘と柴田に何度も襲い掛かってくることになる。ラストなんて「これで生きていたらギャグだ」と言わせながら、まだ襲ってくる(笑)。いよいよこのシリーズもこれで終わりかと思わせるラストもギャグにして終わらせるのもいいなぁ。 横浜の河川でモーターボートを走って追いかける柴田恭兵なんかは、私の大好きな『フレンチコネクション2』を思い出させるし、おおっ! これはひょっとして『ガントレット』! なんていうシーンもあり、うふふふふと、すっかり楽しんでしまった。 全体にどこか東映の不良番長シリーズにも似た、おふざけテイストがあって、こりゃ、いつかまたBSあたりで、あぶデカの再放送があったら観てしまうかもしれない。 男は、「女を紹介する」で、すべてなんとでもなってしまったりする軽さもいいなぁ(笑)。 12月3日記 静かなお喋り 12月2日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |