風雲電影院

MUD−マッドー(Mud)

2014年4月26日
キネカ大森

 公式サイトでは、これを『スタンド・バイ・ミー』と比較しているようだが、確かにそんな雰囲気もある。

 時代設定は、主題歌がビーチ・ボーイズの Help Me Lhonda だし、画面から伝わってくる雰囲気は、まさに1960年代の中ごろと言った感じ。主人公は、一応エリスとネックボーンというふたりの少年。14歳というから中学生だろう。場所はミシシッピーの田舎町。エリスの家族は3人で川のほとりで生活している。どうも夫婦仲はぎくしゃくしている雰囲気。

 ある日、エリスたちは川で島になっているところにいた、あんちゃん(jマシュー・マコノヒー)と出会う。男はマッドと名乗り、筋骨隆々。なんかかっこいいあんちゃんだ。何者なのかわからないままに、このマッドのところに食糧などを運んできてやっているうちに、このマッドが指名手配されている男だと知る。なんで指名手配されているのかマッドに聞くと、恋人のジェニパー(リース・ウィザースプーン)を妊娠させ暴力を振るった男を射殺して逃げているのだと語る。そのジェニパーも近くの街に来ていて、一緒に逃げるつもりだとのこと。

 エリスたちが街のモーテルに行ってみると、ジェニパーはいた。ただしジェニパーには、マッドに殺された男のファミリーが張っていて、マッドが出てきたら撃ち殺そうと手ぐすねを引いて待ち構えていることも知る。なんともぶっそうでよからぬ背景が、マッドやジェニパーにはあるようですな。このファミリーのドンが、おおなんとジョー・ドン・ベイカーではないの! お久しぶり〜。まだ現役でやってたんだ〜。

 14歳くらいの男の子の気持ちって、自分でも通過してきた年代ってこともあってわかるんだよね〜。オトナからは子供扱い。だけどそのオトナへの失望感を感じ始めているのも14歳くらいなんだよね。それでいて、ちょっと年上くらいの20代のあんちゃんはかっこよく見えて憧れがある。それと同時に女性が気になりだしている時期でもあって、この映画の中でもエリスは同年代のパールって女の子に夢中。でもパールはそんなエリスをまだガキくらいにしか思ってない。って、こういう図式もわかるわかるって感じ。

 でもね、いかにちょっと年上の、かっこいいあんちゃんやねえちゃんだって、オトナなんだよね、ジェニパーはどう考えても身持ちの悪いアバズレで、人からはマッドはジェニパーに翻弄されてたって言われてる。マッドだって、あの人は他人を利用して生きてきたなんて言われちゃってるし。オトナって一筋縄ではないんだ。

 それでマッドは島に打ち上げられたボートを使って、ジェニパーを連れて逃げようと計画する。それを手伝うエリスとネックボーンは、なんとかマッドを助けたいっていう一心なんだね。ところがマッドとジェニパーの関係がおかしなことになって行ってしまう。もうふたりは一緒に逃げることを断念してしまうらしい。なんで?というエリスの思いは純粋すぎてかわいそうになってくる。

 そして映画は突然の銃撃戦に。最後にはそうなるだろうとは思ったけれど、これがかっこいいの。マッドの助っ人の存在もちゃんと伏線張ってあったしね。

 いい台詞がたくさん出てくる。「振られてもシケたツラしてちゃいけない。シャンとしてればまた別の女の子が現れる」なんて、グッときたなぁ。

 14歳の男の子の成長を描いたこの映画、ややイビツなところもあるけど、好きな映画になりそうだ。

4月27日記

静かなお喋り 4月26日

静かなお喋り

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