風雲電影院

ローリング・サンダー(Rolling Thunder)

2016年5月2日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 1977年作品かあ。公開当時、映画館で観て以来だから、これもかれこれも40年ぶりに観たってことになる。

 ポール・シュレイダーが、『タクシー・ドライバー』の翌年に書いたもので。ベトナム戦争後遺症というテーマも同じ。ラストが売春宿での至近距離からの銃撃戦というのも共通している。

 主人公はというと、『タクシー・ドライバー』のトラヴィス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ)が独身者だったのに対して、『ローリング・サンダー』のチャールズ・レーン(ウィリアム・ディベイン)は妻子持ち。トラヴィスはベトナム戦争後遺症ということもあるが、かなり性格的にも問題がある感じだったが、チャールズの方はというと、ベトナムでの捕虜生活で何もかも失ってしまって無気力になってしまったかに見える。帰国してみれば奥さんはほかの男とテキてしまっているは、子供は懐いてくれない。そこにメキシコのならず者たちがやってきて、妻と子供を殺しチャールズは片手を失ってしまう。もう彼にとって妻と息子の仇を取るなんていうことも、心底からの怒りすらなかったかのよう。ただ淡々と仕返しに旅立つ。

 40年前に観た時は、チャールズとその戦友であるジョニー・ボーデン(トミー・リー・ジョーンス。若い!)の死に場所求めての道行きにばかり目が行ってしまっていたのだが、今回はチャールズと行動を共にするリンダ(リンダ・ヘインズ)にばかり目が行ってしまった。「私、いくつだと思う?」とリンダがチャールズに訊くと「25歳?」。「あたしもうすぐ30よ」。アラサーなのだ。アラサー女性が出てくる映画が大好きな私。ぞっこんいかれてしまった。

 リンダは街で一番の美人だというのに、30歳を目前にして結婚もできず、思うような仕事も生き方もできないでいる。こういう切羽詰まったアラサーって、なんだか妙に愛おしいく感じてしまうんですよ。そんなところに現れたチャールズに、リンダは仕事も辞めて、ついて行ってしまう。

 ところが何にも喋らないチャールズに「あなたみたいに静かな人、見たことない」と言い、「私、誰とでも寝る女よ」と誘いをかけるのだが、まるで乗ってこないチャールズ。彼をどうとたらいいのか持て余している。

 「抱いてやんなよ、チャールズ」と思うのだけれど、この映画は違うんですね。ホテルのベッドに彼女ひとり残して出て行っちゃう。捨てられたと思って、もうこうなったら洗いざらい警察に通報してやると受話器を取ってダイヤルするものの、やっぱり止めちゃう。う〜、いいシーンだなぁ。リンダ・ヘインズって、それほど多くの映画に出た人ではないし、おそらく大きな役はあまりなかったと思うけれど、この映画でのリンダ・ハインズ、私、忘れないよ。

5月3日記

静かなお喋り 5月2日

静かなお喋り

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