ラバー(Rubber) 2015年6月21日 WOWOW放映録画 古タイヤが人間を襲う映画。レンタルDVDに付いていた予告編を観たことがあって、このバカバカしい発想の映画を観てみたいと思ったのが確か二年ほど前。そういえばそんな映画のことをベルリンさんも書いていたなと思って調べてみたら、2011年のベルリン・ファンタでご覧になって書いていた。そのうちにこの映画のことは忘れてしまっていたのだが、数日前にWOWOWで放送されたので録画しておいて観ることができた。 とりあえず、ベルリンさんが書いたものにリンクを張っておきます。内容をうまく説明してくれています。 ベルリン横町にたった家 ラバー ベルリンさんも書いているように、とにかくわけのわからないストーリーなんですが、決してつまらなかっり退屈だったりするわけじゃなくて、この映画はいったいなんなんだと深く考えようとすると泥沼に落ちるようなところがある。しかもこの映画のずるいところは、最初っから開き直っていることで、最初に登場人物のひとりが出てきてカメラに向かってこんなことをのたまいます。 「『E.T.』の宇宙人はなぜ茶色なのか・・・理由なんてない 『ある愛の詩』でなぜ2人が恋に落ちるのか・・・理由なんてない 『J.F.K.』で大統領がなぜ突然見知らぬ人に暗殺されるのか・・・理由なんてない 『悪魔のいけにえ』でなぜ人を殺した後、洗面所で手を洗うシーンがないのか・・・理由なんてない 『戦場のピアニスト』で主人公はピアノの名人なのになぜ虐げられていたのか・・・理由などない」 そしてこう結論づける。 「つまり偉大な映画は必ず理由なき重要な要素が入っている。なぜなら人生それ自体が理由ない事の連続だからだ」 なんだかひどい論理だよなぁ。 「この映画は理由がないことへのオマージュである。理由なきことこそ表現の最強要素だ」 って、お〜い、勝手なこと言うんじないよ〜。 ようするにわけわかんない映画作って、あとは詭弁で押し通そうというんだろうな〜。アハハハハ。 このタイヤ、人を襲うっていう予告編を見たときに、タイヤは人を襲ってそれを食糧にするのかと思っていたのだけど、それは勘違いだった。ただ襲うだけなんですね。人を襲うのも押し潰すとかというのではなく念力みたいなもので頭を吹っ飛ばす。そう、『スキャナーズ』みたいな頭部爆発。理由なんてない。 荒野。捨て置かれた古タイヤが意思を持ったかのように立ち上がって転がりだす。ペットボトルの上を通り、サソリを踏み潰し、ビール瓶の上に乗り、やがて疲れたのか横になって寝てしまう。翌朝また動き出して、水たまりの水を飲むようなしぐさをしたかと思うと、あたりに野ウサギを発見。身体(?)をプルプルプルプル震わせたかと思うと念動でウサギを爆破。さらにはカラスまで爆破。これがいまいちよく理由がわからない・・・そうか、理由なんてないんだっけ。 そうかと思うと理由らしきものがある場合もある。ハイウェイで自動車に弾き飛ばされた恨みで、その車を追いかけて行って運転手の頭を爆破。モーテルでグラマーな女の子がシャワーを浴びてれば忍び込む。このタイヤって男なの? とにかくホラーとは程遠くて怖くないし、タイヤ自体なんたか見ているとカワイイんだ。テレビが大好きで、カーレースの実況をジッと見てたり。もっとも映像的にはベッドの上にたってるだけなんだけど、テレビを見ているように感じてしまうから不思議。 タイヤが人を襲っていることに気が付いた警察がなんとかタイヤを退治しようとする・・・という発想自体よく考えるとバカバカしいのだけど、その作戦なんてもっとバカバカしい。と思っていると何のことない、タイヤはあっさり退治されちゃう。 そのあとのシーンというのはもっとバカバカしい。タイヤは、もう撮影は終わりだと言われると・・・。これには唖然としましたね。なんでそうなるの? と思った途端、最初の言葉を思い出しました。「理由なんてない」 6月22日記 静かなお喋り 6月21日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |