風雲電影院

さらばあぶない刑事

2016年2月15日
TOHOシネマズ日本橋

 『あぶでか』のテレビシリーズは観たことがなかった。劇場版もかろうじて第三作『もっともあぶない刑事』を二年ほど前に観ただけ。だから『あぶでか』ファンというわけではない。テレビシリーズが放映されていたのは1980年代後半。もうはるか30年近く前のこと。劇場版でも最後が2005年だから、10年前。もう劇場版でもタカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)は一度死んだことになっていて、それでもまたもや何度も復活。それだけこのシリーズは人気があるんだろうし、日本テレビとても作れば儲かるってことなんでしょう。でもほとんど今までのものを観ていない私としては、「やった〜、また続編が観られる〜」といった高揚感があるわけでもなく、『あぶでか』好きの人たちとは温度差があることは事実。しかも、舘ひろしも柴田恭兵もポスター観るとトシ取ったなぁ〜と思ってしまう。もう二人とも60代半ばだってさ。

 というわけで、さすがにもう刑事役はこれ以上無理ということで、これがいよいよ最後ということらしい。物語の方も定年を4日後に控えたふたりという設定。これといってやり残した仕事もないといった状態で、あとは4日間おとなしくしていれば、退職金と年金がもらえる。ところがここで浮上してきたのが中南米マフィアの存在。日系のキョウイチ・ガルシア(吉川晃司)との闘いの火蓋が切って落とされることらなる。

 プログラムピクチャーとして見せ場もふんだんに盛り込んだ映画で退屈することなく観ていられる。東映お得意の、アクョン、コメディ、ペーソスのごった煮。いかにも東映だなぁという感じ。

 しかし惜しむらくは、レギュラーメンバーの高齢化。舘、柴田は言うに及ばず、木の実ナナはもう70近い。浅野温子だって50代。結婚式を間近に控え寿退社って設定が痛い。もちろんその後、本当に痛いことになるのだが。とにかくもう、舘も柴田もかっこつけてもどこか痛々しい。どうなんだろう。私みたいに『あぶでか』を観てこなかった人間には、「痛い映画だなぁ」としか思えないのだが、古くからのファンは、それでも観ていて楽しいんだろうか?

 ニュージーランドロケがあって、これって本当に必要だったのかなぁ。舘と柴田がゴルフやってふざけあっているシーン。これって、ただ役者が会社の金で遊びに行きたくてわざわざ付け足したんじゃないかと思えてしまう。そのへんも東映といえば東映。

 予告編で強調されてたのが、大人数のヤクザがタカとユージに向かってやってくるシーン。「弾丸(タマ)の数と敵の数がまったく合わない」。さあてどうするんだろうと思ったら、あらあら『明日に向かって撃て』そのままいただきなのね。まっ、それがやりたかったんだろうし、いい終わり方なのかもなぁ。でも、そのあとオマケが付いて茶化すところが、スタッフ、キャストの照れでもあった気がする。

 最後の銃撃戦のさなか、ユージが自分の夢を語るシーンがある。「結婚して子供作って刑事に育て上げる」って・・・定年を迎えた男の刑事の言うことに笑ってしまったが、ほかのお客さんたちはマジに取っていたのだろうか?

2月16日記

静かなお喋り 2月15日

静かなお喋り

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