風雲電影院

スペース・カウボーイ(Space Cowboys)

2014年11月3日
三日月座BaceKOMシネマ倶楽部

 2000年のクリント・イーストウッド監督・主演作品。これは見落としていた。最近は作る映画作る映画、どれも傑作というイーストウッドだが、これはどちらかというと珍品。

 決してつまらない映画ではない。なかなか面白い娯楽作になっているのだが、惜しむらくはバランスが悪い。だから観終ってから、「なんなんだ、この映画」ということになってしまう。

 この映画、大きく分けて四つの部分に別れていて、それがそれぞれのカラーがあって、別の映画なんじゃないかと思えてしまうのがバランスの悪さの原因なのではないかと思う。最初は主人公たちがまだ若かったころ。宇宙飛行士を目指して訓練を受けながら、無茶ばっかりやっていた様子が映し出される。この部分は『ライト・スタッフ』に似ているが、ほかのアメリカの軍隊生活を描いたものにも共通した、日本あたりでは考えられないようなミリタリー青春映画の味わい。別にイーストウッドが監督しないでもよかったんじゃないかって思いがよぎる。

 二番目は、ロシアの通信衛星が故障してこのままでは地球に落ちてきてしまうということになり、この通信衛星のシステムの一部を設計したイーストウッドのところに何とかならないかと相談が来るところ。宇宙に飛び立つ夢を断たれたイーストウッドは、自分とあの時の仲間をスペース・シャトルで送り込んでくれるなら、行って修理してやると答える。昔の仲間に会いに行って、宇宙行きを打診する。この部分は楽しくてワクワクする思い。『七人の侍』の昔から仲間集め部分っていいんだよねぇ。

 三番目。しかしイーストウッド含め、あとのトミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナーはみんな70のじいさん。彼らは宇宙飛行士の訓練に耐えられたら合格ということになって、訓練を受ける。ここも楽しい。このあたりが一番イーストウッドの本領発揮の部分かも知れない。

 そして最後が、いよいよ宇宙に出ていくところ。ここまでで、全体の四分の三くらい時間をかけていて、さあいよいよだという感じなのだが、ここからが、いまいち面白く無くなる。イーストウッドに特撮っぽい宇宙ものは、やはり合わないのだと思う。

 この映画で一番いい役を引き当てたのはトミー・リー・ジョーンズだというのは意外だった。カッコよすぎだろ(笑)。

 それにしても、これを撮った時にイーストウッドがもうすでに70歳くらいになっていたとうのは驚き。しかもこのあと何本も傑作をものにしているんだから凄い。

 アメリカ映画って、けっこう昔から、じいさんたちが頑張る映画って多くて、最近でも年取ったアクショクスターが勢ぞろいして相変らず「若いもんには負けない」なんて姿を見せるなんていう映画があるが、なんか痛々しくって、私はあまり積極的に観たいとは思わないんだけれど、『スペース・カウボーイ』くらいのさじ加減は、割と気持ちいいかな。

11月4日記

静かなお喋り 11月3日

静かなお喋り

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