風雲電影院

続・激突! カージャック(The Sugarland Express)

2014年7月14日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 1974年作品。スティーヴン・スピルバーグの劇場映画第一作だ。『激突!』Duel の方はテレビ映画。『激突!』はデキがいいので、日本では劇場公開され、同じスティーヴン・スピルバーグだし、カーアクションだしってことだったのだろう。続編でもなんでもないのに、こんなタイトルを付けられて公開されてしまった。だいたいからしてカージャックなんていう和製英語まで付けられて、ひどいタイトルだよなと思ったものだった。

 それでも、私は『激突!』のときの興奮を期待して映画館に行ったのを記憶している。そして私はかなり失望した。「なんだこれ」という思い。『激突!』は、リチャード・マシスン原作の映画化で、いわばスリラーに属する作品。運転手の姿が見えないタンクローリーが、なんのいわれもなく、ある特定の一般人に襲ってくる話。その不気味さ、ただ単純に襲ってくるだけの話で一本の映画にしてしまい、その緊張感っていったらなかった。一方こちらは1969年に起きた実話の映画化。スリラーなんかじゃなくて、ヒューマンドラマの趣きだったんですよね。

 『俺たちに明日はない』が1967年で、『明日に向って撃て』が1969年。それで、この映画の基になった事件が、1969年に起きている。どちらも社会からのはみ出し者が事件を起こして銃殺されていく。おそらく、アメリカ社会って、この事件が起きたときに、これらアメリカン・ニューシネマのことがあったんでしょうね。この映画が事実を伝えているなら、大騒ぎになったようだ。

 小さな犯罪を犯した若い夫婦が、親権を奪われた自分の子供を取り返そうと、パトカーを乗っ取って、500km離れた場所に移動して行く。それを追いかける何十台ものパトカー、夫婦を応援する人たちやら、野次馬、報道陣。さらには警察の代わりに夫婦を殺そうとする者までが一緒に移動することになる。

 なんかもう、この映画を観た時点で、私はこの手の映画って、もういいよって気持ちになっていたのだと思う。アメリカン・ニューシネマはもういい。実際、この年には、ピーター・フォンダ主演の『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』も公開されていて、食傷気味だったってことはある。でもね、この2本に関しては、だからといって一概に二度と観たくないとはいえないのは、両作とも素敵な女優さんが出ているからだ。『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』にはスーザン・ジョージ、『続・激突 カージャック』にはゴールディ・ホーンだ。

 『続・激突 カージャック』はもうだいぶ忘れていた。冒頭のシーンは、バスが田舎の道に停まり、そこからゴールディ・ホーンが降りてきて、歩いて行くところ。彼女の向かう先は、夫の更生施設。このとき、「あれ? ゴールディ・ホーンって、こんなに太っていたっけ?」と思ったのは、ちゃんと理由があってのこと。施設の男子トイレの個室に入ったゴールディ・ホーンは夫に抱き着いてくる。服の下から出てきたのは夫のシャツとジーンズ。夫に着替えさせて、この施設から脱走しようと持ち掛けるのだ。あと四ヶ月待てば出られるというのに、強引に脱走を持ち掛けるゴールディ・ホーン。それがこんな魅力的な女とあっては、ついフラフラとこの話に乗ってしまう夫も無理はないと思わせるだけのセクシーさがゴールディ・ホーンにはあるのだよね。

 このゴールディ・ホーン、ちょっとアタマが足りないという設定の役なのかもしれない。実際にあった事件の女性はともあれ。だって、これがもとで夫は警察の銃弾を受けて死んじゃうわけだし。あとたった四ヶ月辛抱できなかっただけで、こんな悲劇がって・・・。映画の最後でテロップが流れて、彼女は服役後、無事に親権を取り戻したとあるわけで、ねえ、これって夫は死に損なんじゃないの? アメリカでは、この件、いったいどう思われているのか。なんか後味が悪い映画なのだ。ラストで夫が死んでいくシーンが川の畔で逆光で捉えられて、やたらきれいなのも、なんだかなあと・・・。

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