風雲電影院

ザ・ウォーク(The Walk)

2016年2月12日
109シネマズ木塲

 そのうちに観ようと思っていながら、気が付いてみたらもう上映が終わってしまう。近くの[TOHOシネマズ日本橋]はすでに上映終了。歩いて行くと一時間近くかかる[109シネマズ木塲]は、今日が最終日。しかも3D上映は18時40分からの一回のみ。これを逃すともう観られないことになる。もちろん名画座で上映されるのを待つとか、DVDが出てるまで待つという手もある。しかしこれは高層ビルの綱渡り。3Dで観ないでどうする。ということで出かけてきた。

 なんだかもう、最近は3Dにうんざりしてきてしまっていて、何も3Dでなくてもいいじゃんと思えてきているのだが、これだけは3Dで観たかった。おそらくゼメキスとしても、3Dを使って何を見せたらお客さんが喜ぶだろうという思考の末に浮かんだのが、この実話だったに違いない。普通の人が体験できない高層ビルの間の綱渡りを見せてやろうということだったんだう。私は高所恐怖症ではない。もっとも最近はやや、その気が出てきて高いところに立つと竦む感じを覚えるようになった。でも相変わらず高いところは好き。そんな高いところを綱渡りしする感覚が味わえるなら味合わせてもらおうじゃないのという気になる。アトラクションムービー大歓迎だ。

 とにかく2時間の映画にしなくちゃならないら、主人公が綱渡りに興味を持ったあたりから始まって、ワールドトレードセンター建築現場に忍び込んで作戦を練る部分が前半部分にある。ここが割とよく出来ていて退屈しない。そしていよいよ決行。夜、ビルにまんまと入り込み、ビルとビルの間にワイヤーを渡すあたり、なかなかのサスペンス。実話で成功していると知っていながらドキドキしてしまう。

 そして夜明け。いよいよ綱渡りが始まる。綱渡りのコスチュームとしてタートルネックのセーターを用意してきているのだが、これをうっかり地上に落としてしまう。そのときに、この男は怒り狂う。せっかく用意した本番用の衣装なのに落としてしまうなんて・・・って自分で落としたんだろと、ちょっとこっちの気分が削がれるシーンだ。それより地上のことを心配しろよ。セーターならどこにぶつかっても問題ないだろうけど、それに気を取られたクルマが事故起こしたらどうするんだよ。そのあたりから主人公に対する共感が薄れて行ってしまったのかもしれない。こいつ本当は自分勝手で嫌な奴なんじゃないか?

 それで肝心の期待していた綱渡りのシーンがねぇ・・・いまいち期待外れというか・・・。あまり怖くないのだよ。CGだってことはわかっているけれど、もっと綱渡りしている男の上から地上まで見渡せるというような俯瞰ショットとか、主人公は前を向いて歩いているものの、カメラは足元から地上を向いているなんていうショットが長く続けばゾクゾクしてくるのだろうけど、男を横からとか前から後ろから捉えたショットが多くて、アトラクション・ムービーとしては、やや興ざめ。『エリーゼのために』が流れたりして、これは本人にとってはサーカスなのかもしれないけど、あれはいらないんじゃない? なんかこっちが期待していたのとは、ちょっと違うんだよねと思えてくる。

 やがて警察が出てきて、無理やりやめさせようとするあたり、下手に声かけたり手を出したりする方が危ないのにと思わせる演出も、どうなんだろう。ヘリコプターまで出てきてスピーカーでやめるように説得する。あのねぇ、ヘリコプターのプロペラの風圧って、とんでもないものだよ。それこそ、そんな綱渡りをしている男の近くまでヘリコプターが近づいたら危ないだろうが! なんかこの辺も過剰な作為を感じてしまう。

 そして綱渡りが終われば、この男は一転、英雄になってしまう。そこのあたりがまた、良くも悪くもアメリカだなぁと思えるし。そのあとさらに主人公が饒舌に語る部分も好きになれない。

 ハリウッドとしては、さらにリメンバー9.11ということを言いたかったのだろうと思えてくると、あまりにも作為的に作られた映画のような気がしてきて、ちょっと複雑な気分になってしまった。

2月13日記

静かなお喋り 2月12日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置