タイガー・マウンテン〜雪原の死闘〜(The Taking of Tiger Mountain 智取威虎山) 2016年1月4日 シネマート新宿 またなんとも大味な映画をツイ・ハークが作ったというのが私の感想。以前のツイ・ハークはどこへいってしまったのだろう。 かつてツイ・ハークといえば香港のスピルバーグといわれて、傑作を次々と送り出していた娯楽映画の旗手。『上海ブルース』『北京オペラブルース』あたりから始まって、あの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズ。それにあの渾身の傑作『ブレード/刀』。あのころまでのツイ・ハークは香港のトツプを走っていた。あの後だ、ツイ・ハークの勢いが止まってしまったのは。とくに中国本土との繋がりを強めて撮るようになってからは、以前までの冴えが見られなくなってしまったのはどうしたことだろう。 話としては面白い。日中戦争が終わって1946年のこと。雪の威虎山にならず者たちが陣取り、村を襲っては悪さをしていた。そこへ中国共産党の兵士たちが乗り込んできて、彼らを討伐しようとするのだが、相手は300人、こちらは30人しかいない。しかも山の中に大量の武器を隠し持っていた。 史実に基づいた小説の映画化だそうだが、なんでこんなに武力に差がついてしまっていのか理解に苦しむ。援軍を待てばいいだけの話ではないか。なんで30人で十倍の人数の相手と戦おうとしたのか? しかま相手がいるのは切り立った山道の奥の山の中。そこに戦車まで保有している。ちょっと考えると、戦車がそんな山の中まで入っていけるのかと疑問を感じてしまうのだが。 圧倒的な戦力差。そこで敵地にスパイを送り込み、いろいろ工作するというのはわかるのだけれど、それにまんまと相手がひっかかるというのも、出木すぎかな。 中国本土の資金で好きなように映画を作るために、あえて中国政府のプロパガンダみたいな脚本で作るのはわからないでもないけれど、ほとんどマンガみたいな作りになってしまっているような気がするのだが。これではハリウッド映画の粗悪な真似でしかない。ツイ・ハークよ、それでいいのか? 最後にオマケのような映像が加えられている。山の中にトンネルが掘られていて、それが長い滑走路になっている。戦闘機がそこから飛び立とうとするアクション。そんな滑走路、どうやって作ったの? しかもそのトンネルは戦闘機一機が通れる゛リギリ。飛び立つことはおそらく不可能な設計だし、着陸ともなると、あんなところに着陸させるのは奇跡だとしか思えないのだが。 ほとんど雪の中のシーンばかりで色がない上、もともとは3Dで撮ったせいか画面が暗い。最近目が悪くなった私には画面の暗さはつらかった。 1月5日記 静かなお喋り 1月4日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |