風雲電影院

トリプルタップ(Triple Tap 鎗王之王)

2013年1月15日
シネマート六本木

 このところ、「どうしちゃったの?」というくらい香港映画が劇場公開されているが、どれもまあ「イマイチだなぁ」という感がある。この『トリプルタップ』はそんな中でも一番期待していたもの。う〜ん、これも悪くはないのだけれど、やはりイマイチの部類になってしまったかなぁ。

 導入部はかなり面白い。射撃大会があって、ダニエル・ウーのチョン刑事と、ルイス・クーの投資家クワンが、わずかの差でクワンが優勝する。その帰り道、クワンは輸送車の強盗事件を目撃する。咄嗟に射撃大会で使用した銃を使って制圧しようとするが、抵抗にあって、犯人のうち三人を射殺。ひとりは取り逃がしてしまう。このとき、駆け付けた白バイ警官がいたが、この警官は銃撃戦に巻き込まれ重体。意識不明のまま入院する。クワンは裁判にかけられるが無罪になる。しかし、どうもチョンは、このクワンに疑問を持つ。

以下、ネタバレします。ご注意ください。

 はたして、クワンは犯人の一味なのか、それともあくまで通りがかりに事件に巻き込まれたのかという興味はあるはずで、特に射撃大会でクワンに敗れたチョンの逆恨みなのかという興味で持って行けたはずなのに、早々とクワンが怪しい動きを始めて、こりゃ犯人の一味だろということがわかってしまう。それならそれで、『刑事コロンボ』式に話を持っていけばいいのに、チョン刑事側の動きがあまり見られないのがもったいない。ここで丁々発止のやりとりでもあれば、もっと面白くなったはずなのに、ややダレてしまう。

 意識不明で入院中の白バイ警官は意識を回復しそうだということで、逃げていた犯人が病院に忍び込んで射殺するのだが、また意識を回復したらしいという情報から今度はクワンがまた病院に忍び込んで銃で撃つ。
 と、これが警察側の罠でチョンは逮捕されてしまう。実はもうとっくに警察官は意識不明のままで死にかけていたのだがというのが真相。でも、警察側がこんなことやるかねぇ。ここで事件の真相が明らかになるのだが、こうなると、引っ張りすぎだろ。

 トリプルタップというせっかくの伏線を用意したんだから、事件解決の鍵として、この技を使える人物として特定されるような罠でも仕掛けるといったような脚本にならなかったんだろうか?

1月16日記

静かなお喋り 1月15日

静かなお喋り

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