風雲電影院

トラック野郎 爆走一番星

2015年2月9日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 1975年。この年、菅原文太はゴールデンウイークに『県警対組織暴力』に出た後、夏に愛川欽也が東映に持ち込んだ企画『トラック野郎 御意見無用』に出て大ヒット。早くもその年の暮に正月映画として製作されたのが、この二作目の『トラック野郎 爆走一番星』だった。

 私は正直に言って『トラック野郎』シリーズはほとんど観ていない。およそ観る気にもならなかったというのが本音。でも今観てみるとこれ、案外面白かった。公序良俗クソくらえの、エロ・グロ・ナンセンス。なんでもありのハチャメチャさ。松竹の寅さんシリーズと被っているけれど、とことん下品。これだよね、東映は。

 オープニングは女子高生の修学旅行。引率の先生は特別出演の研ナオコ。どうやらみんなで順番に歌を歌っていたらしい。それが研ナオコの順番に回って来たのか、生徒たちが「『愚図』でしょ」なんて言ってる。『愚図』はこの映画の挿入歌『一番星ブルース』『ドライビング・ブギ』の作曲者、宇崎竜童が作った曲。でも『愚図』じゃあ盛り上がらないよなぁと思ったところで、一番星こと星桃次郎(菅原文太)とやもめのジョナサンこと松下金造(愛川欽也)の運転するトラックが登場。勝手にリクエストに答えましてと、マイクで「♪わたしバカよね おバカさんよね」と細川きよしの『心のこり』を歌いだす。特別出演とはいえ研ナオコもギャグに使われてしまう。

 このシリーズもマドンナに惚れてしまうという寅さんと丸被りパターンなのだが、今回のお相手は、あべ静江。これが映画初出演。歌手としても有名だが、このころのあべ静江は今観てもきれいだ。歌もそうだけれど清純派って感じだったよなぁ。食堂でアルバイトしている津軽出身の学生という役どころで、一目惚れしてしまった桃次郎が突然、太宰治に被れた文学青年のふりをするというギャグが、これまた寅さんそっくり。なぜか学生服着てたりって、やり過ぎだろ。アハハハハ。そんな思いをバキュームカーの運転手杉本千秋(加茂さくら)に相談に乗ってもらおうと思ったら、周りの勘違いもあって、千秋を愛しているのだと思い込まれてしまう。千秋もその気になってしまうのだが、これが勘違いだとわかって、ああ可哀そうな加茂さくら。なのにこの映画、振られた千秋が悲しみを振り払うかのように走るシーンを撮ってストップモーションかけて、そこまで。このあと、なべおさみの警察官に惚れられて一緒になっちゃうというのもなんだかなぁ。それでいいの?

 まあ、トラックドライバーの最大の敵は警察ってことなんだろうけど、田中邦衛のボルサリーノ2は元警察官だった金造に恨みを持っていて復讐に来る。もう警察官じゃなくて同じトラックドライバーになったというのにだ。それにそこまでするか? なべおさみのエピソードといい、この金造の過去といい、なにもそこまで警察を目の敵にしなくてもと思う。

 プログラムピクチャーにありがちなことだけど、いくつもの話がゴッチャに進行するから、まとまりがないことおびただしい。桃次郎の恋物語に、ボルサリーノ2の話、それに織本淳吉をめぐる長崎の話、もう余計な気もするなべおさみの話。それをエロとベタなギャグをテンコ盛りにして1時間40分。ご馳走を食べたというより、食べ放題で好きなものを食べさせられた感じ。今観ると当時の世相がなんだか懐かしいし、最近こういうのにも腹が立たなくなってきた。

2月10日記

静かなお喋り 2月9日

静かなお喋り

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